猫でもわかる濾材のお話
熱帯魚の飼育をはじめて、濾過器を買うことになりますと、その中に入れるための濾材(”ろ材”と書くことも多いです)を選ぶことになります。初めて熱帯魚飼育に触れたとき、濾材という言葉ですら聞き慣れないものですよね。しかも、その濾材にもいろいろとありまして、本当にややこしいです。ですので、今回は、そもそも濾材というのは何なのか?という辺りから話をはじめまして、それにはどんな種類があるのか?とか、メンテナンスの仕方は?、どういう風に選べば良いのか?といった辺りまでを書いてみたいと思います。 今回の濾材のお話は、前回書いた”猫でもわかる濾過器のお話”の続きというか、あれとセットで考えていただければと思いますので、もしも濾過器のことが分からないという場合には、そちらも合わせて読んでいただければと思います。ですので、濾過器の名前など、向こうで説明したことについては、こちらでは普通に使っていくことにします。 とりあえず、どこかの掲示板などで濾材の話題が出ても、話をするのに困らない程度に理解していただけるように書きたいと思います。具体的には、”猫でもわかる濾過話”で語られている範囲内の濾過で使われる濾材のお話がメインです。ですので、特別なことをやる場合(例えば、嫌気濾過(猫にはつらい濾過話参照)や、極端な水質環境の水槽など)は省きました。また、基本的な事のみですので、それ以上のことは、お調べくださいね。 また、あくまでも、”アクアリウムのレベルで話をする時に困らないように”ということですので、アクアリウムで使われている濾材について、アクアリウムで言われている理屈に基づいて書いてあります。ですから、これを一般の上下水道の濾過とか、そういうものと比較するのは無理があります。というか、完全に別物と思ってくださったほうが潔いかと(笑) あくまでも、アクアに関する、初心者向けの第一歩のお話として読んでみて下さい。 それにしても、濾過器の話を書いてからかなり経ってしまいまして、なんだか申し訳ないです(^^; |
■濾材ってなんでしょう? まず、濾材というのは、何か?というお話から。 濾材という言葉を聞くと、なんとなく、「ああ、濾過をするものなのかなぁ」なんて思われると思いますが、それはかなり正しいですので、そのイメージで行っちゃって下さいね(^^) で、濾材をちきんと定義しようと思ったのですが、なんだかうまい言葉が見つかりませんでした。濾材と、一言で言っても、種類が色々とありますので、なかなか言いにくいんですね。ですので、現段階では、先ほどのイメージをそのままに、とりあえず”濾過器と一緒に使い、濾過をするための物”とまずは思っていてください。 要するに、濾過器をセットする時に濾過器の中に、なにやらいろいろと入れたりしますよね? あれのことだと、まずはイメージしていてくださいね(濾材は、濾過器の中に入れて使う場合が多いですが、濾過方式によっては、濾過器の中にいれずに使う濾材もありますが)。 上で”種類が色々とある”と書いたのですが、濾材は、3つの方法で種類分けされるのが一般的です。一つは用途による分け方、もう一つは素材による分け方、そして形による分け方です。 それで、まずは、用途による分け方について、書いてみようと思います。 用途による分け方は、”猫でもわかる濾過話”の中の”濾過って何でしょう?”の部分のことがわかっていますと、すぐに理解できると思いますので、わからない方はその部分だけでも読んできてくださいね。で、そこに何が書いてあったのか?と言いますと、濾過の種類についてです。つまり、吸着濾過、物理濾過、生物濾過と、濾過には3種類ある、ということが書いてあります。そして、用途による濾材のわけ方は、それに対応しておりまして、吸着濾過のために使われる濾材を吸着濾材(こういう呼び方は実際にはあまりしませんが、今はとりあえず、こう呼びます)、物理濾過のために使われる濾材を物理濾材、生物濾過のために使われる濾材を生物濾材といいます。 これは分かりやすいですよね。そのものズバリ、用途ごとに濾材の種類が決まっているのですから。ですので、この部分はこのまま覚えていただければと思います。 次に、素材による分け方。濾材は色々な材料で作られています。その使われている材料が何であるか?による分け方です。今回は、濾材の材料として、ウール、スポンジ、活性炭、セラミック(陶器)、砂や石(砂利)、サンゴを使った物について説明しようと思っています。これらは、後でそれぞれ詳しく説明しますが、アクアリウムで一般的に使われている濾材の材料ですので、まずは「こういう材料で作られた濾材がある」ということだけ、覚えてください。 最後に、形による分け方です。濾材も色々な形のものがありますので、それで分けられることもあるんです。一般によくある形としては、パイプ型というか、短いちくわのような形をしたものをリング濾材、球形をしたものを、粒状濾材(ボール濾材、球状濾材などと言ったりもします)、平べったくて、かなりの面積をもっている濾材をマット(又はパッド)、網目のある袋に入れて使う濾材を、ネット入り濾材(これは、無理矢理そう呼べば呼べるという感じなのですが、そういう形の濾材もあるということで)という風に呼びます。最近はあまり見かけませんが、円柱形の濾材を棒状濾材なんていうこともあります。形によって濾材の特性が多少変わってきますので、このように形で分けて考えると分かりやすいこともあります。 という感じですので、濾材と一言で言っても、例えば、「生物濾過用のセラミックで出来たリング濾材」なんてことになるわけですね。そうすると、組み合わせが膨大な数になるんじゃないの?なんて思われるかもしれませんが、全てのパターンの組み合わせがあるわけではないですので、実際には濾材の種類というのはそれほど多くはなりませんので、安心してください。 |
■それぞれの濾材の特徴 では、具体的に、濾材の特徴を説明しようと思います。 上で書いたように、濾材は3つの分け方がありますが、私が一番分かりやすいと思う、素材によるわけ方で、以下の話を進めていこうと思います。 |
●ウール濾材 ウールを使った濾材です。ウールといっても、実際は羊の毛ではありません。その時点で、言葉の使い方が間違っているのですが、アクアリウムでは、羊毛や綿のような、細かい繊維状になっている濾材(要するに綿菓子のような感じのもの)を総称してウール濾材と呼んでいます。また、ただ単にウールと呼ぶこともあります。 ウール濾材の形は、本当に綿菓子みたいな感じで、適当にちぎって使うようにして売られているものもありますが、濾過器の形に合わせて、長方形や円形に成形されているものもあります。こういうマット状になったウール濾材を、ウールマットと呼んでいます。ウール濾材の形は主にこの2種類です。リング状のウール濾材とか、粒状のウール濾材というのは、無いと思います(少なくとも、私は製品としては見た事が無いです)。 そして、ウール濾材は、主に水の中の大き目のゴミを濾し取ったりするための、物理濾過の用途に使われることが多いです。その次に、バクテリアが住み着くための生物濾材としての役割を果たすこともあるという感じの使われ方をしています。 ですので、”ウール濾材”と言った場合には、物理濾過一般に広く使われ、生物濾過にも使われることのある濾材で、マットか、適当に形を作ることができる綿状になっているものであると考えて、まず間違い無いです。 ウール濾材は、上部濾過器用のウールマットとして、一番良く使われていると思います。ですので、上部濾過器の濾過層の大きさに合わせたウールマットがたくさん売られています。また、投げ込み式濾過器の付け替え用カートリッジとして、ウールマットを曲げたものが使われていることも多いです。メーカーが作る製品の正規の使い方としては、それ以外は、あまり見かけません。でも、適当にちぎったり、ハサミで切ったりして使えるので、かなり便利でして、自作派の方々が、外掛け濾過器や、水中濾過器に詰め込んだり、底面濾過器で濾過器の中に砂が入り込まないようにかぶせるのに使うなんていう用途もあります。 ウール濾材の利点は、値段が安いので手軽に使えること、かなり自由に形を変えることが出来ますので、自分の好きな場所に詰め込んだりして使うことができることだと思います。欠点としては、形が自由になる分、形を保つのがあまり得意ではないので、使っているうちに、潰れてしまったりすることが多いです。せんべい布団ってありますよね?あんな感じで、最初はフワフワだったのに、使っていくと、しょんぼりしてくることが多いです。ですので、値段とも相まって、適当な時期で使い捨てにすることの多い濾材だと思います。 |
●スポンジ濾材 食器洗いに使われるようなスポンジを材料にしている濾材をスポンジ濾材と呼びます。これはそのままですね(^^; 用途としては、物理濾過と生物濾過に使われています。 物理濾材としては、濾過器の中に入れて、水中のゴミが生物濾材のところまで行かないようにするためのものであったり、固い生物濾材が擦れて削れた時に出るカスなどが水槽に行かないように、濾し取るためのものとして使われることが多いです。この用途は、特に外部濾過器などでよく見られます。その場合には、外部濾過器の形に合わせた形状になっていることが多く、そういう形状のスポンジ濾材を、スポンジパッドなどと、呼ぶ事が多いです。また、上部濾過器や外部濾過器や外掛け濾過器の水の吸い込み口につけるスポンジ濾材もあります。これは吸い込み口を覆うような感じで、円柱形になっていることが多く、ストレーナースポンジなどと呼ばれています。 物理濾過と生物濾過の両用のスポンジ濾材もあります。一番良く見かけるのはスポンジ濾過器のスポンジです。あれはスポンジそのものが見えているので形は分かりやすいかと思いますが、スポンジに水中のゴミを吸い付けて濾し取り(物理濾過し)つつ、同時にスポンジにバクテリアを繁殖させて生物濾過を行っています。大抵は、円柱形で、中心に穴が空いているような形になっています。また、水中濾過器の中に物理、生物、両用の濾材としていれてあるスポンジなども同様です。こちらは、水中濾過器の内部の形に合わせて、スポンジの形も成形してあります。 生物濾過のためだけのスポンジ濾材もあります。これは主に、外部濾過器や上部濾過器、外掛け濾過器などで使われている例を見ますが、メーカーから正規の品として売られている生物濾過専用のスポンジ濾材というのはあまり見かけません。大抵は、濾材を自作している皆様が、アクア用ではなく、台所の食器洗いスポンジだったり、洗車用スポンジだったりを適当な大きさに切断して、濾過器に詰め込んでいるという例が多いです。これは、後述するセラミック濾材が高価なことが多いので、安く済ませるための工夫です。ただし、スポンジの種類によっては、溶けちゃったり、水質を換えるものが溶け出したり、抗菌作用が働いたりと、ちょっと厄介でして、選ぶためにはそれなりの知識が必要ですし、もともとアクア用ではないものの転用ですので、リスクが高いことは否めません。 スポンジ濾材の利点としては、ウール濾材と同様に、はさみで切ったりと加工が楽なので、好きなように使えるという面がありますし、ウール濾材に比べて形が崩れにくいので、長く使えることなどが挙げられます。欠点としては、スポンジパッドや、ストレーナースポンジ、スポンジ濾過器など、その濾過器専用に成形されて売られているスポンジは、それなりに値段がすること、アクア用品以外から転用して使う場合には、上で書いたようなリスクが伴うのでそれを考えて使う必要があることかと思います。 |
●活性炭 これを濾材に入れるかどうか、多少迷ったのですが、”濾材は濾過をするもの”だと、書きましたので、これも濾材ということで扱うことにします。活性炭は、主に吸着濾過を行うための濾材です。というか、それ以外に使われることはまず無いですし、また活性炭以外の濾材が吸着濾過に使われることも、アクアではほとんどありません。”吸着濾過をするもの=活性炭”という風に思っていて、ほぼ間違いないです。ですので、”活性炭”という言葉で言われることが多く、”吸着濾材”という言葉自体があまり使われることがありません。 吸着濾材として売られている活性炭の形状ですが、一番多いのは、2ミリ〜1センチ弱くらいの活性炭の小さな粒粒を、縦横10センチくらいのネット(みかんが入って売られている赤いネットのようなもの)に入れてあるタイプです。これをそのまま、濾過器の中や、水流のあるところに置いて、その活性炭の粒粒の中に水を流して、吸着濾過をさせるというような使い方をします。こういう形の活性炭は各社から発売されています。 また、高性能活性炭というのもあります。キョーリンのブラックホールなんかが有名ですが、こちらはネットではなく、布?というか強い紙?というか、お茶を中に入れて使う、ティーパックのような素材で出来た袋に入っています。これも、使い方はネットに入った活性炭と同じです。 他には、外掛け濾過や水中濾過器、投げ込み式濾過器などのために、活性炭カートリッジということで、定期的に取り替えるためのカートリッジに入ったものが売られています。こちらはカートリッジの素材も形状も様々ですが、どれもそこに水を通して吸着濾過を行うという仕組みに変わりはありません。 活性炭の濾材としての利点は、吸着濾過の利点そのままでして、入れた瞬間から水中の悪い物質を吸着しはじめるので、即効性が期待できることと、比較的安価なことです。ですが、欠点としては、ある程度の期間が過ぎると、吸着能力が失われるので、吸着濾過を継続して発揮させるためには、定期的に取り替える必要があるということです。 また、活性炭ではなく、普通の炭でも吸着能力はある(多少性能は落ちるそうですが)そうですので、バーベキュー用の炭を使っている方なんかもいらっしゃいます。ただ、これを使う場合には、他のもの(着火剤とか、油とか)が入っていない純粋な炭であることを確認してからにしてくださいね。 |
●セラミック濾材 セラミックで出来た濾材をセラミック濾材と言います。”セラミック”と言いますと、なんだか難しそうに思いますが、”焼き物”って思えば身近に感じられるのではないでしょうか?皆さんが毎日使っているお茶碗も、会社でお茶を飲んでいる湯飲みも、庭に置いてある信楽焼の狸もセラミックです。実を言いますと、ガラスもセラミックだそうです。セメントや石膏もセラミックだそうで…。なんだか、なんでもセラミックって感じですね(笑) まあ、そういう与太話はどうでもいいんですが、セラミックで出来た濾材をセラミック濾材と言いますので、色々な素材でセラミック濾材というのは作られています。私が知っているだけでも、陶器に近い材料で作られたものや、ガラスのようなものがあります。ですので、そういう細かいことを言っていますと、なんだか面倒なことになりますので、ここはあえて、かなり簡単に言い切ってしまうことにします。アクアで言うところのセラミック濾材とは、”明らかに人工的に成形されて造られたことがわかる濾材の中で、手で壊すにはちょっと固すぎる濾材”と思っていただければ、例え、それが(厳密に)セラミックで出来ていなくても、多分セラミック濾材って呼ばれると思います。要するに”固い濾材の中で、天然の石とかじゃないもの”をセラミック濾材と呼んでいるんですね。その辺り、お話していると、厳密に突っ込まれる方もたまにいらっしゃいますが、基本的にこんな風に考えて、大きな間違いはおきないと思います。 さて、セラミック濾材の用途ですが、基本的には生物濾過に使われます。というか、物理濾過に使う方はまずいらっしゃらないですし、吸着濾過のためのセラミック濾材は、私は見たことがありません。存在するのかもしれませんが、一般的ではないです。ですので、セラミック濾材は、生物濾過に使うと思ってほぼ間違いないです。 セラミック濾材の形ですが、大きく二種類ありまして、一つは、短いちくわのような形をしているリング濾材、もう一つは球体をしている粒状濾材です。この二つのどちらかの形をしているのものがほとんどです。以前、短い棒状のセラミック濾材を見たことがありますが、最近は見かけないです。リング濾材は、長さ、直径ともに、大きくても3センチくらいです。粒状濾材はさらに小さくて、直径が1センチ以下の場合が多いと思います。 使うときには、活性炭を入れているようなネットに入れて使う場合もありますし、濾過器に直接入れて使うこともあります。どの場合でも、普通は物理濾過を行ったあとの水(目に見えるゴミを取り除いた水)をセラミック濾材に通しまして、その中のアンモニアや亜硝酸を無害化するという感じで使われます。セラミック濾材が単体で使われることというのはほとんどありません。 濾材を入れる場所を大きく取れる、大きめの濾過器で使われることが多く、上部濾過器や、外部濾過器、オーバーフロー濾過器などで、主に使われます。自作派の方が、外掛け濾過器に工夫して入れているのも見かけます(これは正規の使い方ではないですが)。 こんな感じのセラミック濾材ですが、生物濾過をどのようにやるのか?といいますと、セラミック濾材の表面にブツブツとした細かい凹凸がありまして、そのブツブツの部分にバクテリアが住み着きやすくなっているわけです。ですので、他の濾材に比べて、生物濾過がしやすい(と思われる)ということで、作られた濾材です。 セラミック濾材の利点は、次項で説明する、石などの濾材よりも軽いことと、生物濾過の能力が高いことが挙げられると思います。というか、利点というよりも、生物濾過のために作られた濾材ですので、それ以外に用途がないと言ったほうが良いかもしれません(^^;。逆に欠点ですが、物理濾材と組み合わせて使う必要があることや、値段が結構高いことなどが挙げられます。とはいえ、生物濾過をやるのでしたら、セラミック濾材を使うのが手っ取り早いですので、そういう意味で使っている方が多い濾材だと思います。セラミック濾材で有名なのは、シポラックス、エーハイメック、サブストラット、パワーハウスなどです。 |
●砂、石など 実は天然の砂や石なども濾材になります。とりあえず、まとめて砂利と呼んでおきますね。砂利に関しては皆さん見たことがあると思いますので、説明することもないと思いますが、濾材として使われている砂利は、底砂用に売られている砂利を流用したものや、それに近い感じのものが多いです。ですので、本当にさらさらの細かい砂から、大磯や、さらに3センチくらいの石まで使われているのも見かけます。 材質や形はイメージできると思いますが、使い方が少し特殊です。一番使われるのが、底面濾過器の濾材としてだと思います。”猫でもわかる濾過話”で底面濾過のお話をしたときに、底砂自体を濾材とするという風に書きましたが、そういう使い方が砂利を濾材として使う場合に一番多いと思います。ですので、物理濾過と生物濾過の2つの役割をになうのが、この場合の用途です。 また、もう一つ。底面濾過用の濾材として使われていることに比べるとあまり有名ではないですが、生物濾過の濾材としてセラミック濾材の代わりに、上部濾過器や外部濾過器に入れて使う方もいらっしゃいます。私も外部濾過器の生物濾材の半分は5ミリくらいの砂利を使っています。ただ、普通の底砂用の砂利はセラミック濾材に比べますとかなり重く、構造的に弱い濾過器に入れますと重量が増えて厳しいことになりますので、その代わりに、軽石などを拾ってきて使っている方もいらっしゃいます。 底面濾過器の濾材としてではなく、上部濾過器や外部濾過器の濾材として砂利を使う場合には、セラミック濾材の天然版という風に考えると分かりやすいと思います。これも石の表面がザラザラしていることで、そこにバクテリアが定着しやすいという特性を利用して生物濾過を効果的に行うことを狙っています。 砂利を濾材とすることの利点と欠点は、底面濾過で使う場合には、底面濾過器のそれに準じますので詳しいことは濾過器の解説のところを見てくださいね。基本的には、安価に濾過をまかなえることや、濾過器を水槽の中に入れられることが利点、メンテナンスにコツがいることが欠点だと思います。生物濾材として(セラミック濾材の代わりに)使う場合の利点は、セラミック濾材よりもかなり安価なこと、入手が楽なことが挙げられます。欠点としては、軽石じゃない場合にはかなり重いこと、天然物ですので慎重に選ばないと水質を変化させるものに当たる可能性があることです。 |
●サンゴ サンゴというのは、海にいる、あのサンゴのことです。サンゴを水槽に入れるなんて、なんだかすごく優雅な感じというか、高級感があるように思えますが、濾材として入れますので、濾過器の中に入ってしまって見えない場合もありまして、これは飾りや、育成が目的ではなく、あくまでも濾材としてのサンゴのお話です。 サンゴと言うのは、見ていただければ分かりますが、表面がザラザラしているわけですね。ですので、そこにバクテリアが住み着くことを期待して生物濾材として使われるという用途が一つあります。そのときには、適度な大きさに砕いたサンゴを、濾過器に入れます。そのときにはセラミック濾材と同じように、大きさによって、ネットに入れてから濾過器に入れたり、そのままいれたりします。生物濾過のための濾材として使いますので、その前段に物理濾過を入れる必要があるのも、セラミック濾材と同じです。ですので、使われる濾過器も、上部濾過器や外部濾過器、オーバーフロー濾過器のことが多いです。 また、サンゴ砂というサンゴを砕いた白い砂がありますが、それを底面に敷き詰めまして、底面濾過を行う場合もあります。そういうときには、物理濾過と生物濾過のための濾材になりますので、それは砂利を使った底面濾過の場合と同様です。 と、ここまで読んできますと、サンゴって他の濾材と何も変わらないじゃないか?なんて思われると思いますが、決定的に一つだけ違うことがあります。サンゴは、水質をアルカリ性の方向に傾けることが出来るんです(アルカリ性とか、pHのことに関しては、”猫でもわかる水話”を参照してくださいね)。水質がアルカリ性のほうが調子が良い魚を飼うときに濾材として使われることが多いのがサンゴなんです。そういう意味で、サンゴだけ別に説明してみました。 サンゴの利点は水質をアルカリ性に保ってくれること、砂利などに比べると軽いので濾材として使いやすいということが挙げられると思います。欠点としては、アルカリ性に傾いてしまうので、酸性側が好きな魚や水草の飼育には向かないこと、値段が多少高いことなどがあげられます。また、濾材自体が徐々に解けながらアルカリ性の水質を保ちますので、長い間使っていると、だんだんと崩れてきますので、足してやる必要がでてくることもあり、欠点といえばそれも欠点かと思います。 サンゴを濾材や底砂として使う機会というのは、熱帯魚の飼育全体から考えるとそれほど多くはありません。熱帯魚の中でも、アフリカンシクリッドや汽水魚など、少し異なった水質の魚を飼育する場合や、大型魚の飼育などで、餌を大量に与えることで、急激に酸性に傾くのを防ぐ場合などに使われることが多いです。ですので、そういう魚を飼うということがなければ、サンゴを濾材として使うことはあまりないと思います。 |
■濾材のメンテナンス 濾材について説明してきましたが、濾材というのは、濾過器などにセットしてしまえばそれでおしまいということではなく、必要に応じて、メンテナンスをしなければいけません。そうしないと、濾材としての能力が下がってしまう場合があります。その辺りのことについて少し書きます。 |
●吸着濾材(活性炭) 活性炭は水中の悪いものをとにかく吸着して水質を保つものですが、延々と吸着し続けるということはできません。ある一定の悪いものを吸着してしまったら、それで吸着能力は失われますので、取り替える必要があります。活性炭のメンテナンスとしては、この取り替える作業だけで基本的にokです。取り替える時期に関しては、アクア用の活性炭でしたら、その説明書に書いてありますので、それに従っていれば問題ないです。 |
●物理濾材 ウールやスポンジで物理濾過をしていますと、表面に濾し取られたゴミがついてきて、だんだんと黒くなってきます。それが限界になりますと、ウールやスポンジの中に水が染み込んでいかずに、その表面を水が抜けていくだけになってしまいますので、そうなる少し前にはメンテナンスをする必要があります。かなり黒くなってきますのですぐに分かると思います。 一番一般的なメンテナンスは、水槽の水か、カルキ抜きをした水をバケツにとりまして、その中でウールやスポンジをもみ洗いします(洗った水は捨てます。水槽に戻さないでくださいね(^^;)。何度か、もみ洗いしますと、綺麗になってきます。元の色にまで綺麗にはならないのですが、かなりの汚れを取ることが出来ますので、汚れが落ちましたら、また元のようにセットしなおせばいいです。またスポンジの場合にはかなり長く形を保っていてくれますが、ウールの場合にはしばらく使っているうちに、へたってきて、形が保てなくなってくることが多いですので、そうなってきましたら新しいウールと取り替えてあげてください。 ”水槽の水”か”カルキ抜きした水”で、もみ洗いと書きましたが、それには理由があります。もし仮に、水道水で洗いますと、水道のカルキでウールやスポンジに繁殖している濾過バクテリアを殺してしまうことになりますので、それを避けるためなんです。ウールやスポンジの濾材を物理濾過のみと割り切ってしまう場合には、バクテリアを無視して水道水で洗ってしまっても問題ないですが、物理濾過といいつつ、ウールやスポンジに繁殖したバクテリアの生物濾過の力も借りられるものなら借りたいところですので、せっかく繁殖したバクテリアをあまり殺さないように洗っている方が多いのが現状です。 わざわざカルキ抜きした水を用意するのもちょっと大変ですから、水槽の水でもみ洗いするのがいちばん簡単です。水換えのときに、水槽から水を取り出しますので、その水でウールやスポンジを洗っている方が多いと思います。 |
●生物濾材 セラミック濾材や砂や石、サンゴなどを濾過器に入れて使う場合のメンテナンスです(底面濾過の場合は下で別に書きます)。 生物濾材は、物理濾材よりも、ゴミがたまってくるのがかなり遅いと思います(もしも物理濾材と同じくらいの速度でゴミがたまるようなら、生物濾過の前段にあるはずの物理濾過がうまく行っていない場合が多いので、その辺りを見直してみてください)。ですが、徐々にゴミというか、チリのようなものや、茶色いゼリー状のものなど、なんだかあまり見慣れないようなものが濾材の表面にこびりついてくることが多いです。これは生物濾過をしている濾過バクテリアがいる証拠です。ですので、これがついてきたことは、ある程度は歓迎されるべきものです。ですが、これもたまりすぎますと、生物濾材全体の水の流れが滞ったりして、良くないですので、濾材に満遍なく水が回るようにしてやる必要があります。 やり方は、水槽の水をバケツに取りまして、濾過器から取り出した生物濾材をその中に入れて、軽くすすぎます。物理濾材のときのようにもみ洗いとかはしなくても大丈夫です。濾材の表面についている汚れを軽く落として、水の通りを良くする程度で良いですので、くれぐれも洗い過ぎないようにしてくださいね。洗ったらそのまま濾過器に戻せば終了です。 水槽の環境や濾過器の能力、濾材の種類によって、どの程度で水が回らなくなるほど目詰まりするかは決まりますので一概にメンテナンスの時期を規定することは出来ません。一度セットしたら、最後まで生物濾材はいじらない方もいますので、濾過器の流れが滞っているなぁとか、水槽の調子がイマイチだなぁとか、そういうときに、生物濾材の様子を確かめてみて、もしも詰っているようでしたら、メンテナンスをするという感じでよいかと思います。 |
●底面濾過の濾材(砂や石=底砂) 底面濾過に関しては、底砂掃除自体が濾材のメンテナンスになります。底面濾過では、底砂が物理濾過と生物濾過を担当します。物理濾過に関しては、上でも書きましたが定期的にゴミを洗ってやる必要がありますが、いちいち、底砂を取り出して洗うのは大変ですので、そういうことをされている方はあまりいらっしゃらないと思います。水換えのときに、プロホースなどの底砂掃除器具で底砂にたまったゴミを丹念に吸い出すようにするというのが、基本的なメンテナンスの方法です。また底砂が生物濾過も兼ねていますので、あまりいじらないという方もいらっしゃいまして、その辺りは水槽の様子を見ながら判断する必要があります。ですので、メンテナンスに一番コツがいるのが底面濾過かなぁと私などは思っております(私は底面濾過の維持が下手ですので、特にそうなのかもしれませんが…(^^;)。 |
●カートリッジ式のもの カートリッジ式で、定期交換する濾材を使っている濾過器(主に、投げ込み式濾過器、外掛け濾過器、水中濾過器)の場合には、説明書に書いてある通りに、カートリッジを交換すればそれでメンテナンスは終了ですので、ある意味一番わかりやすいものだと思います。ただ、メンテナンスのたびにお金がかかりますので、お財布にはちょっと痛いですが…(^^; |
■濾材の濾過能力はどこで決まる?どう選ぶ? ここまで、濾材のことを説明してきましたが、実際に買うとなると濾材を選ぶ必要があります。ですので、濾材の性能について知りたいところですよね。でも、濾材の性能を評価するというのは、非常に難しいです。難しい理由は、濾材単体ではなく、濾材と濾過器の組み合わせで濾過が機能しているために、これと組み合わせればいいけど、こっちではダメ、なんて事も良くあります。また、飼育している魚の種類や、水槽のスタイルなどによっても、性能の評価基準は変わってきますので、その辺りを考えますと、一概にここを比べると良いと言い切ることは出来ないです。ですので、大まかなところで、性能を評価する手がかりになりそうな部分、そして選び方を書いてみます。 |
●吸着濾材(活性炭) 吸着濾過に関しましては3点。どこまでのものを吸着できるのか?ということと、どのくらいの速さで吸着できるのか?それから、どのくらいの期間、吸着能力がもつのか?ということが評価の分かれ目だと思います。 まず、どのくらいのものを吸着できるのか?ということですと、例えば、高性能活性炭などですと、流木のあくなどによる、水の黄ばみまでも吸着してくれたりしますので、これに関しては分かりやすいです。ですので、水槽がなんとなく黄ばんでいるなぁとか、そういうときには、高性能活性炭を選ぶというのは、十分な根拠があると思います。この部分に関しては、あとは値段との相談で使うかどうかを決めると良いと思います。 ですが、どのくらいの速さで吸着するのか?とか、どのくらいの期間、もつのか?というのは、実際問題、普通の素人である我々には調べようがありませんので、分からないです(^^; 私も色々なメーカーの活性炭を使ってみましたが…。正直に書きまして、どれも飼育していて実感できるほどに、差があるとは思えません。ですので、基本的に、安いのを買ってます(笑) パッケージには、吸着できる期間が書いてありますので、それをそのまま信じるとして、その期間と分量から、一番お得なのを選んでおります。ですので、特にこのメーカーのこの活性炭が良いとか、そういうことを思ったことは無いです。なんだか、乱暴な言い方になりますが、きちんとしたアクアメーカーから発売されている活性炭は(吸着するものが少し違う高性能活性炭を除きますと)、どれを使っても一緒というのが、正直な感想です(^^; |
●物理濾材(ウール、スポンジなど) 物理濾材に関しましては、性能を測る点は2点だと思います。網の目の細かさと、耐久性です。 網の目の細かさというのは、どの程度小さなゴミまで取ってくれるか?ということですので、細かければ細かいほど良いわけですね。これはウールとかスポンジを目で見て比べたり、手触りなんかでも分かると思います。ただ、細かすぎると、今度はすぐに詰りますのでメンテナンスの回数が増えてしまうことになるんです。適度なところにしておかないと、毎日ウールを洗うとか、そういう大変なことになってしまいますので、その辺りはそれぞれの飼育状況に合わせて、適当なものを選ばれると良いかと思います。 なんて書きましたが、実際問題としては、アクア用に売られているウールとかスポンジの濾材は、細かさは大体それなりに良さそうなところで決めてあるみたいでして、これも目に付いたものを買ってくれば、そんなに問題になることはなかったりします(^^; 耐久性に関しても、メーカーによって、製品によって、そんなに大きな違いはないように思います。ウールやスポンジがどのくらいヘタらずにもつのか?というのは、どちらかというと、洗い方の上手い下手によって決まっているような気がします。あまりにも激しくもみ洗いしますと、すぐにヘタりますし、丁寧にやればそれだけ長くもちます。 ただ、ウールよりも、スポンジの方が長くもつ場合が多いです。 このようなことを考え合わせると、物理濾材に関しては、目の細かさとか、耐久性を考えるよりも、自分の濾過器の大きさに合うようにカットされているとか、そういう利便性や値段で選んだ方が良いかもしれないと思っています。 |
●生物濾材、その1(砂、石、サンゴ砂) 生物濾材に関しては、性能の評価をする前に、水槽の方針で、ほとんど決まってしまうことがありますので、そのことから話をします。 アルカリ性水質を好む魚を飼育する場合には、あまり考えることはなく、サンゴの濾材やサンゴ砂の底面濾過にしてしまえば良いです。もちろん他の濾材を使った上でサンゴを別に入れるとか、そういうことでも良いです。ただ、少なくとも、酸性側が好きな魚とか、南米産水草を飼育する場合には、サンゴの使用は控えるというのがセオリーです。 底面濾過を使う場合には、底砂が濾材ですから、他の濾材を考える必要はありませんので、その場合も選択肢はおのずと決まってきます。底面濾過をする場合、底砂の粒が細かすぎますと、底面濾過のプレートの穴に入ってしまったりして、工夫しないと使えませんので、ちょっと大変です。また、底砂の粒が大きすぎてもゴミを濾せずにそのままプレートから吸い込んでしまいますので、あまり効率の良い濾過になりません。ですので、底面濾過器のプレートの穴の大きさを見ながら、それよりも少し大きいくらいの底砂にするのが底面濾過では、いちばん簡単な維持スタイルだと思われます。 |
●生物濾材、その2(セラミック濾材、砂、石、スポンジ) さて、最後に残りました、一番の問題です(笑) 皆さんが最も迷われる部分かと思われる生物濾材、特にセラミック濾材などの選び方です。セラミック濾材って高いんですよね(^^; ですので、できるだけ濾過能力の高いものを選びたいというのが、人情なわけでありまして、私も初めてセラミック濾材を買ったときにはかなり悩んだ記憶があります。 セラミック濾材をはじめ、砂利、スポンジなどの生物濾過専用に使う濾材の濾過能力に関して、ネットや本で調べますと、表面積の大きさと、通水性とでの比較が一番多く見られます。また、セラミック濾材を店頭で見ますと、キャッチコピーに、”多坑質構造で、広い表面積”とか、”粒構造でいつまでもしっかりした通水が確保される”とか、そういう文言が良く書いてあります。それで濾過能力の比較をしようと考えるわけなんですが…。 この際、それはとりあえず忘れましょう(笑) 私も色々と買って使ってきました。生物濾材だけでも、10種類以上使いましたが、濾過能力の違いについて、はっきりと体感できるか?といわれましたら、うーんと唸ります。違ったような気もしつつ、でも安定してくればどれも大差ないようにも思えまして…。 見た目としても、どの濾材もザラザラですので、表面積なんて見たって分かりませんよね(^^; それに、濾過器に入れて使ってみないと、通水性がずっと確保されるかどうかも分かりませんし、そもそも、飼育のスタイルや、飼っている魚、使う濾過器の種類、餌の量や種類、与え方など、水槽によって全て違いますので、生物濾材の濾過能力を、形状などから比較するということ自体が、私はナンセンスだと思っております(こんなことを書きますと、怒られるかもしれませんが…(^^;)。 また、最近の生物濾材って、どこのメーカーもそれなりに高いレベルで性能を発揮しますのでさらに比較が困難になりまして、正直、違いを体感するのは難しいと思います。 例えますと、コカコーラと、ペプシコーラでですね、利きコーラをするわけですよ。完全に隠して飲まされたら、私には違いはわかりません。どっちも美味しく頂くと思います。でも、多分、分かる人もいます。そしてこだわって「こっちのコーラしか飲めない!」なんて言う人もいるわけです。セラミック濾材の性能の違いや、アクアリストによる濾材の性能談義というのは、そういうものだと思ってくださると分かりやすいかと思います。ですので、こだわる方は徹底的にこだわってくだされば良いと思うのですが、そのこだわり具合が理解できなければ、生物濾材の濾過能力に関してはそんなに悩まなくてもいいかなと個人的には思っております。 最低限、魚を飼うための性能につきましては、きちんとしたメーカーの品であれば、どれでも問題ないと思います。魚を健康に飼育するのに困るレベルの濾材に当たることはまずないと思います。その点、どのメーカーも優秀だと思います。濾材に100の濾過能力があれば、魚を健康に飼育できると仮定して、ほとんどの濾材が100を超える性能を備えているわけです。さらに、砂利を生物濾材とした場合や、スポンジを細かく切って濾材にした場合などでも、同様に100以上の性能は出ていると考えてよいと思います。そして、濾材の性能の比較というのは、さらにその上のレベルでの話になるのだと思います。高性能な濾材は105かもしれませんし、ちょっと性能が劣って101かもしれません。 イメージとしては、そのくらいのレベルでの戦いですので、私のようにコカコーラとペプシコーラの味の違いが分からない人にとっては、どれでも同じことになってしまうわけです(^^;。逆に言えば、100の性能で問題ないだけの数や大きさの魚を飼育すればいいわけですし、実際の飼育環境をみてみると、生物濾材が100の性能を出し切らないと、飼育が困難になる状況と言うのは、かなりの過密飼育とか、濾過器の流量不足とか、別の意味で水槽に無理がかかっている場合が多いと思います。水槽の大きさに対して常識的な範囲の魚を、水槽にあった濾過器で飼育する場合、その濾過器に入る量の濾材を入れておけば、どの生物濾材でも、生物濾過の能力に困ることはまずないと考えて良いと思います。 なんて、選ぶのに、全然参考にならないですね(笑) どうもすみません。でも、そのくらい、今の生物濾材の性能はかなり高いレベルで拮抗していると思います。本当に良くなってきましたよね。幸せなことです(^^)。ですので、濾過器にもしも濾材がついてくるならそれを使うも良し、好きなメーカーで買うも良し、値段で決めるも良し、と思います。 ただ、いくつか、明らかに違う生物濾材がありますので、その点だけ注意してくださいね。 利きコーラにファンタオレンジが混ざっていれば、さすがに私もわかりますが、そのくらい違う濾材があります。代表的なものとしては、パワーハウスのようなpHコントロール機能がついている濾材がありますので、pHを思った方向に向けたい場合には、その点で選ぶようにすると良いかと思います。また、昔のシポラックスや大磯砂のように、使い始めにアルカリ性に傾く濾材もあります(使っていくうちに落ち着きます)。濾過能力に関しては文句無いのですが、そういうものは注意して使う必要があると思います(今のシポラックスは使ってないので、アルカリ性になるかどうかは知らないです)。 という感じですので、濾材を選ぶときには濾過能力というのはあえて考えずに、それ以外の付加価値とか、利点欠点などを考慮して決めると良いかと思います。具体的には、pHを変化させる必要があるのかどうか?という点、濾過器の濾材を入れる空間からの制約で、濾材が均等に入るかどうか?重量は大丈夫かどうか?メンテナンスはしやすいかどうか?という点(濾材の大きさ、形、重さで決める)、あとはお財布と相談して決めると良いと思います。 最後に、スポンジ濾材について一つだけ。アクアの自作系のサイトを見ていますと、洗車スポンジを濾材に使うという工夫を目にすることがありますが、それに関しては注意してください。私も洗車スポンジを細かく切って、生物濾材として使っていまして、調子は良いです。安くてとても重宝しています。ですので、後日、濾過層を大きくしたときにも、全く同じメーカーの同じ製品の洗車スポンジを買ってきて細かく切って入れたのですが、前とは違って、急激にpHが上がるという現象が起こりました。洗車スポンジは、元々、アクアなど繊細なことに使うのは想定されていないものですので、予告なく成分が変わったのかもしれないと思っています。アクア用ではないものを転用する場合には、そういう予期せぬことが起こる場合がありますので、十分な注意をしたうえで使ってくださいね。また、洗剤などの薬品がついていないことをきちんと確認して使ってください。 |
■濾材に関して言われていること、ウソ?ホント? このコーナー、一応つけてみたのですが、ややこしい話が混ざっていますので、本当に濾材のことだけを知りたいという方は読み飛ばしてくださいね。濾材について、ネットや書籍で言われていることについて、私の経験からの私見的なお話です。ここを知らなくても問題はないですので、気にしないでください。 どうしても濾材については、いろいろな議論が出てきます。いろいろな方がいろいろなことをおっしゃっておりますので、調べているうちに、その辺りで迷ってしまったという場合には、多少役立つかな?という内容です。 ●活性炭は吸着した後で吐き出す? 最近は前ほど頻繁には、見かけなくなりましたが、たまにこういう事を書いてあるのを見ますね。活性炭を使うときの注意として、期限が切れたら取り出さないと、今まで吸着したものを吐き出すので、害になるというお話です。化学的、物理的に、私はこの話の真偽を検証することはできません。ですので、あまり大きな声では言いませんが、吸着の有効期間が切れた活性炭を、水槽の中に入れておいて、そのおかげで魚の調子が悪くなったと思われることはないです。私は、活性炭を入れておくと、そのまま忘れちゃうんですよね(^^; それで半年後くらいに、レイアウト変更してみたら砂の中から発見されたとか、いつ入れたのか不明な活性炭が濾過器の中に入ったままだたっとか、良くあるんですが、だからといって水槽の調子が悪かったとか、そういうことを感じた事はないです。 期限の切れた活性炭は、吸着能力はないのだと思いますし、何かしらの悪い物質を吐き出すのかもしれませんが、それが水槽にダメージを与えたと思われる状況は私は経験がないですので、実質的に問題ないと思ってよいのではないかなぁと思っています。 ●濾材を多く入れすぎるのは悪い? 主に生物濾過の話で出てきますが、例えば、ネオンテトラ一匹しかいない水槽に、5リットルも生物濾材をいれていると、その生物濾材の大部分のところには濾過バクテリアがつかないわけですから、無駄であり、逆に余った部分に悪い菌が繁殖して良くないというお話です。これは、実際に試してみたことがあるのですが、濾材が無駄であるということは確かだろうと思います(もっと少ない濾材でも維持できますので)。でも、多いことで問題が出たことも多分ないです(^^) 濾材を大量に入れちゃって大丈夫だと思います。 水槽の立ち上げのときに、濾過器に満タンの濾材をいれて立ち上げるわけですが、そこに最初に入れる魚って数匹なんですよね。で、仕事が忙しかったりなんかして、そのまま数ヶ月、数匹の魚で寂しく飼育していたりしたこととか、病気が蔓延して魚を一度に大量に死なせてしまってガックリして、しばらく魚の追加をしたくなくて、大量の濾材に対して、かなり少ない魚で飼っていたなんてこともありますが、それでも、どちらもきちんと育っておりましたので、濾材がたくさん入っていても問題はないと思います。 これも、あまっている大量の濾材に、ミクロなレベルで何が起きているのかは、私には確かめられないところですが、経験から考えて、飼育する上で問題になるほど悪いことは起きないだろうと思っています。 ●リング濾材は高性能? 上で、セラミック濾材の選び方を書きましたが、セラミック濾材の中でも、リング濾材が一番いいというような記述をよく見かけますので、リング濾材が一番高性能だと思っている方は多いのかもしれませんね。各メーカーがメイン商品として売っている濾材はほとんどリング濾材ですし、高性能だと言われるリング濾材が多いのは確かです。ただ、他の形状の生物濾材と比較して高性能かどうか?というのは、正直なところ分からないです。上の濾材選びのところでも少し書きましたが、濾材は、濾過器との組み合わせや、メンテナンスの仕方など、使い方にもかなり左右されるものですので、そういうところも含めて考える必要があると思います。リング濾材は、リング濾材にあった使い方をすればかなり性能を発揮すると考えておくのが妥当だろうと思いますし、他の形状の濾材にしても、それぞれの使い方をきちんと守れば、問題なく性能を発揮するものだと思います。 |
■最後に 説明の中に難しい言葉なども出てきたので、少しわかりにくかったかも知れませんが、濾材についての解説から、選ぶ時の方針などについて、書いてみました。少しでも皆さんのお役に立てれば嬉しいです。 濾材の説明については、それほど間違いはないと思いますが、濾材の選び方とか、濾材について言われていることについては、かなり私の主観が入っています。また、濾材を変えたことではっきりと濾過能力の違いを実感されたことのある方も多いと思いますので、異論のある方もいらっしゃる部分かもしれないことは承知しながら書きました。ただ、初めて濾材を買うときに、かなり悩む方が多いと思いましたので、迷う必要のある部分と、それほど気にしなくても良いだろうと思われる部分を分けて考えてみてはどうだろうか?ということで、あえてこのような書き方をしてみました。そのせいで、余計に迷った方もいらっしゃるかもしれませんが、濾材は濾材だけではなく、濾過器をはじめ、他の色々な要素との組み合わせで能力を発揮するものなので、総合的に考えることが必要だということが分かっていただけたら、嬉しいです。 濾材のこと、少しでも理解していただけましたでしょうか?このコンテンツが、皆さんのアクアライフの一助になればと思います。 |