■スカーレットジェム

画像提供:haruruさん
●スカーレットジェムについて
 ”真紅の宝石”と称されるスカーレットジェムです。海外ではドワーフスカーレットバジスなんて呼ばれていることもあるそうで、スカーレットジェムという名前は日本でしかあまり通用しないようです。日本に紹介されたのは1998年頃らしく、観賞魚としては比較的新しい魚です。
 ナンドゥス科バディス亜科バディス属の魚で、ベンガレンシスという名前はインドのベンガルを示しているような気がしますが、違うのかな?野生では比較的流れの遅い川に生息しているようで、アルテミアなどの小さな水生生物や昆虫の小さな幼虫などを食べているようです。
 さて、このスカーレットジェムですが、その魅力は写真を見ていただければわかるとおりに、赤く縞縞に発色する美しい体色です。飼い込めば飼い込むほどに真っ赤になるという話ですが、私はそれほど飼い込んでいないのでよくわかりません。背鰭も綺麗に立ち上がっていますし、下に突きだした腹ビレも赤く、エッジに青いラインが入るのが格好良いです。とにかく、宝石のような美しさを、この小さなボディーで楽しめるのですから、こんなお得なお魚は居ません。また、泳ぎ方も特徴的で、いつも胸鰭を細かく動かしてホバリングするようにしています。そして、何かがあると、ちょろっと、すごい勢いで動いてから、また停止してホバリング…そんな感じで水槽の中を泳ぎ回ります。動きが非常にユーモラスです。遊泳層は特に決まっていないようで、下層部の水草の茂みにいることもあり、上層部の浮き草の近くを漂っていることもあります。

●飼育について
 飼育に関しては特別に難しいことはありません。弱酸性から中性の水質で、15から27度程度の水温にしてあげれば良いです。この15度というのはちょっと低いような気もするのですが、このような温度で飼っているという複数の情報がありましたので載せてみました。でも、普通の熱帯魚飼育温度の25度前後で飼えば全く問題ないと思います。エサはイトメやブラインなどの生き餌や冷凍アカムシしか食べないという話がありますが、うちのスカーレットジェムは数日でテトラミンなどの人工餌に慣れましたし、はじめから人工餌を食べる個体も売られているらしいですので、エサに関しても特に難しいことは無いと思います。ただし、あまりがつがつとエサに食い付く様子は見られないので、混泳水槽などで飼育する場合は食べ損なわないように気を付ける必要があると思います。他魚との混泳ですが、他の魚を追いかけ回す様子は見られず、むしろ臆病で他の魚に追いかけられて逃げ回ることが多いようです。ですので、動きの早い魚との混泳は避けた方がよいと思います。もちろん、体が小さいですので、スカーレットジェムを食べるくらいの大きさの魚との混泳もお勧めしません。スカーレットジェム同士では多少の縄張り争いはあるようですが、殺すほどの勢いではやらないようですので同じ水槽に入れても良いと思います。

●繁殖について
スカーレットジェムの雌雄判別は非常に簡単です。派手で真っ赤な個体(タイトル写真のもの)はオスで、色が薄く、同じ成長度合いであれば体が小さくなるのがメス(右写真)です。市場に出ているのは圧倒的にオスの方が多いようで、メスを見かけることはあまり無いですので、繁殖を目指すのであればメスを探すのに少し苦労するかもしれません。それでも、国内で水槽内での繁殖事例があるようですので、メスを見つけることができればそれほど繁殖自体は難しくないようです。繁殖行動はオスとメスが追いかけ合い、ウィローモスの茂みなどに卵を産み付けるようです。その時のオスの色は本当に真っ赤になるそうです。そして、普段は地味なメスも綺麗に縞が浮き上がってくるとのことです。一度見てみたいものです。


戻る ホーム