底砂いろいろ

 クラウンローチのような底棲魚を飼っていると大抵の方は底砂を入れているかと思います。最近は魚と共に水草を育てることも普通にやられていますので、そういう意味でも底砂は水槽をはじめるときの必須アイテムにもなりかけていると言っても良いと思います。ですが、それをどんな基準で選べば良いのかとか、砂ごとの特徴などをまとめた資料は意外と見つからないものです。ですので、クラウンローチを飼うという視点から見た底砂の選択について、底砂の紹介を交えながら書いてみたいと思います。

※底砂のことを底床と呼ぶことがあります。特に水草水槽をやられている方にこの傾向が強いように思いますが、同じ意味です。

■底砂は必要なんでしょうか?(メリット、デメリット)
 こんな質問をされることがあります。イエスかノーで答える質問ですけど、なかなか難しいです。その理由は、底砂があってもなくても飼えていると言う事実がありまして、一概にどちらがよいと言い切れない部分があるからです。ですが、私の個人的な感想としては、クラウンローチを飼う場合には底砂はあった方がよいという気がしています。やはり、見ているとクラウンローチが落ち着いているように見えますし、盛んに砂を掘り起こす仕草を見せてくれます。それはドジョウの本来の働きですからそれを発揮させてあげることは良いことではないかと思っています。また、底に近いところで生活しているために、底面の反射を気にしてストレスになるというお話も聞いたことがありますので、そういう意味でも底砂を敷くことのメリットはあるものと思います。
 ですが、底砂が万能かというとそういうわけでもありません。砂の間にどうしてもゴミがたまってしまいます。それを普段の掃除で全て取り除くのは実際上不可能だと思います。それに対して、底砂を敷かないベアタンクの状態では、底面にたまったゴミを取り出すのは容易です。底砂が汚れているとクラウンローチなどの底魚は調子を落としやすいですから、常に底を綺麗にしておくには底砂を敷かない方が良いと言うことになると思います。ですのであまり掃除に時間をかけられないとか、混泳魚が大型魚など、エサの消費量が多かったり、水を汚す場合には、砂を敷かずに掃除を徹底するというのも一つの考え方だと思います。飼育環境、掃除にかけられる手間などを考えて、底砂を敷くかどうか、また敷くとすればどんなものを選ぶのかということを考える必要があると思います。

■底砂の条件
 クラウンローチの底砂として使って良いものはどんなものなのかということを少し書いてみます。
@水質について
 底砂には水質を変える(何かが溶け出す、反応する)底砂と水質を変えない底砂とがあります。安心なのは水質を変えない底砂ですが、水質を変える底砂でも、クラウンローチが飼育できる範囲での水質変化であれば問題ないと思います。クラウンローチは基本的に弱酸性から中性、軟水の水質を好むと言われていますので、pHや硬度を上げたりする底砂はあまり向かないかも知れません。また、塩分を含んだ底砂、油分を含んだものなど、淡水魚を飼育するのに適さないようなものが溶けだしてくる底砂は使ってはいけないと思います。

A形について
 底砂の形は様々ですが、観賞魚用の底砂と言うことで売られている中にも、底砂の角が鋭く尖っているものがたまにあります。そのような形ですと、クラウンローチが底砂に鼻先を突っ込んだときにスレや傷の原因になる可能性がありますので、出来るだけそのようなタイプの底砂は避けることをお勧めします。
 というのも、その底砂、実際に私は買ったことがありまして。それを米とぎの要領でごしごしと洗っていたら、何だか水が赤くなってきました(ちょっとオーバー?) 指を見たら、指先から血が出ておりまして。力が違うので、人間が怪我するから魚も怪我するとは言いませんが、かなり不安を覚えたのは確かです。精神安定上の理由からもそういう底砂は使わないことをお勧めします。ちなみにその底砂の写真が右です。ちょっと尖っているのがわかると思います。具体的な商品名は問題ありそうなので書かないですが、ホワイトとピンクとブラックの3種類があります。

B大きさについて
 熱帯魚店で売られている底砂は本当にいろいろとありまして、小さいものは計れないくらいの泥のような小さな砂粒から、大きなものは直径3センチもあるような玉砂利までいろいろです。大きさに関しては基本的にどれでも良いと思いますが、クラウンローチがもごもごと砂を吸い込んで、エラから吐く独特の仕草を観察するには砂の粒は小さいほど良いと思います。

C硬さについて
 これは水槽内で粒が崩れてしまう底砂がありますのでそれについてのご注意です。クラウンローチは底砂をとにかくホジホジとやっていますので、崩れやすい底砂の場合には細かいカスが水槽内に漂うことにもなりかねません。絶対に使ってはいけないとは言いませんが、あまりお勧めではないことは確かだと思います。

D重さについて
 大きさとも関係することですが、なるべく比重の重い底砂を選んだ方が無難だと思います。特に細かい底砂の場合には、クラウンローチが泳ぎ回っただけで舞い上がって水が濁るようなことにもなりかねませんので、なるべく重たいものを選ぶのが得策かと思います。またメンテナンスの際にもあまり軽い砂ですとゴミと一緒に吸い出してしまってなかなか底砂の掃除がうまくいきませんので、砂の重さには気を使ってみると良いと思います。

■どんな底砂があるのでしょうか?
 底砂の条件については上に書きましたが、具体的にどんな底砂があるのか、挙げてみようと思います。以下の記述は私が使ったことがあるもの、またはショップや友人、掲示板で使用感を伺った情報を総合して書いています。(掲示板やメールで情報を寄せてくださった、越後屋ポン太さん、ぼーるさん、あずたかさん、アオさん、neko=^_^=さん、さくらさん、ちゃまさん、しびさん、名無しのゴンベェさん、TAOさん、情報ありがとうございました)
名前 写真 解説
大磯砂
(フィリピン砂、
南国砂など)








熱帯魚飼育においてはもっともポピュラーと思われる底砂です。粒の大きさで極細目、細目、中目、荒目などがあります。海産の砂(砂利)なので貝殻などを多く含む場合があり、そのおかげで飼育水のpHを上昇させることがあります。それを防ぐために酸処理されて売られていることもありますし、個人的に酸処理される方も居ます。また長く使っていると段々とpHが上昇しなくなり、水質に影響を与えない底砂になります。形も丸く、崩れず、比重もありますので、メンテナンスも楽です。色はいろいろありますが、一般的に黒っぽいです。
 クラウンローチにとっては、pHの上昇が少し気になりますが、それもあまり大きくなければ問題ありません。よく使われている底砂ですので安心して使えると思います。なるべく細かい方がクラウンローチも穴掘りをしやすいかと思います。
五色石
(新五色石、
ミックスサンド、
玉砂利など)
その名の通り、5色の砂利が混ざったものです。どちらかというと熱帯魚と言うよりも金魚鉢に向いているような砂ですが、私もしばらく使っていました。大きさは大磯の中目から荒目程度のものから、2センチくらいの大きいものまであります。基本的に水質に影響は与えません。また崩れることもなく、比重がありますので掃除の時も楽です。ただし、目が粗いのでゴミが間に落ちてしまうのは仕方が無く、大掃除すると底の方からすごい量のゴミが発見されることになります(これは目の粗い大磯などでも言えることですが…)。
 クラウンローチにとっては特に問題なく使える底砂だと思います。あまり細かくはないので、砂吐きなどは見れないと思いますが、色合いが気に入ったら使ってみるの良いかと思います。
セラミック砂
(ADAパンタナル、
赤玉土など)
画像
募集中
とりあえず焼き固めてあるのでセラミック砂と呼ばれているようです。水草の育成に使われることが多いようですので、あまり詳しくはわかりません。大きさもいろいろあります。基本的には水質に変化は与えませんが、多孔質構造になっていて底砂自体が濾材の役割を果たすことを期待されているようです。崩れることもなく、比重も大きさもある程度ありますが、メンテナンスしたことがないので使用感はわかりません。色はいろいろです。
 クラウンローチにも使ったことがないので、良いかどうかもよくわかりません。水草水槽の長期維持用に使われている底砂のようです。
ソイル
(ADAアクアソイル、
無印ソイルなど)
土を固めて粒状にしていますが、これは土と言ってしまった方がわかりやすいです。水草の育成に使われることが多い砂です。大きさもいろいろありますが、崩れると土になってしまうので、水を濁らせるくらいにものすごく細かいです。普通は水質を弱酸性の軟水に変えてくれます。長く使ったり、指でつぶしても簡単に崩れます。比重や大きさは…。なんと言って良いのかよくわかりませんが、基本的にメンテナンスはしないで使用期限が来たら取り替えることを前提にした砂です。大抵、茶色から黒っぽいです。
 私はクラウンローチに使ったことがないので、良いかどうかよくわかりませんが、特徴からすると、水質的には良いような気がします。ですが底砂の掃除をしないことを前提にしていることと、水草水槽で使われることが多いことから、クラウンローチを飼うためにこれを入れるというよりは、水草を育成するために入れるものですので、そういう意味でクラウンローチを飼うのにわざわざソイルにする意味はよくわからないです。掲示板で寄せていただいた使用感ですが、かじってバラバラにしてまき散らすことがあるそうですので、あまり適してはいないようです。
スーパーZ 一粒の大きさは5mm強程度で比較的大きいですが、比重が軽く、丸く整形されており角が少なくなっています。プロホースなどで問題なく掃除が出来ます。色は明るい茶色から黄土色と言った感じです。
 クラウンローチも問題なく飼育できていますが、砂に潜り込む性質のある魚(クーリーローチなど)には向かないのではないかと思われます。比較的軽いので水草の植え込みは深く刺してやらないとすぐ抜けてしまいますから、クラウンローチが掘り返す場合には注意が必要です。
田砂
(新田砂)
田砂あるいは新田砂と呼ばれる砂です。水田の泥を流したあとに残る砂なんて話を聞いたことがあるのですが、本当かどうかはわからないです。でも基本的には水質に影響を与えません。粒の大きさは砂サイズで、かなり細かいです。また崩れず、ある程度の比重がありますが、やっぱり粒が小さいので底砂掃除のときには、多少のコツが必要です。色は明るいブラウンに見えると思います。
 メンテナンスの面を除けば、クラウンローチにとってはベストと言える砂ではないかと思います。エラからの砂吐きも見せてくれます。ですが、値段が多少高いのが難点です。
川砂(化粧砂)
(ブライトサンド、
ナイルサンドなど)
上記の田砂と同じような性質がありますが、色が揃えてあって化粧砂として利用されることがある底砂です。基本的に田砂と同じ使用感ですので使い方も一緒です。色によって水槽の雰囲気をいろいろと演出したいときに使うと良いと思います。値段も比較的安いです。
川砂(荒砂)




川砂なのですが、川砂という名前で売られているわけではありません。これは、ホームセンターなどで工事や、滑り止め用に売られている砂(荒砂)を処理して使っているものです。処理の仕方はこちら。基本的には水質に影響はありませんが、元にしている砂が違う場合にはその限りではありません。粒の大きさは適当にふるいにかけて作っていますので、そのふるいの大きさに準じます。逆に言うと好みの大きさに出来ると言うことです。崩れることはありませんが、比重があるにも関わらず、田砂よりも細かいので魚が泳ぐと舞い上がることもあります。色も元にする砂によるのですが、比較的暗めの色になることが多いようです。
 私の水槽のメインの砂ですが、クラウンローチにとっては良いようです。砂吐きも見せてくれます。ただ、掃除の時にどうしても吸い出してしまうのでそれをあとから水槽に戻すようにしています。メリットとしては20キロで400円程度と、とにかく値段が安いことでしょうか。

荒砂から作った砂の他に、川砂ということではじめから売られている砂もあります(ハピネスなど)。それぞれ色などの特徴はありますが、基本的には細かく、水質に影響を与えないものが多いようです。
サンディーゴールド 画像
募集中
田砂よりも少し細かいかも知れません。基本的に水質に影響は与えませんし、崩れず、ある程度の比重があり、使いやすいですが、それでも底砂掃除をすると吸い出してしまうこともあります。茶色〜黒色です。
 クラウンローチにはお勧めだと思いますが、何しろ値段が張りますので、大きな水槽に入れるには、結構な出費を覚悟する必要がありそうです。
ガーネットサンド ガーネットの砂です。一応、細目、中目、荒目とありますが、荒目でもかなり細かいですので砂と言って良いと思います。水質には影響は与えません。崩れず、比重も重いですのが、粒が小さいので掃除の時に吸い出してしまうことはありますが、濁るようなことはありません。色は濃い赤紫色から黒っぽいものまであり、非常に綺麗な砂です。その分、値段も高めですが…。古代魚の飼育などでよく使われます。
 クラウンローチには私は使ったことがありませんのでコメントできませんが、他の砂に比べると触った感じ、少し角張っているように思いますが…。どうなのでしょう?
白い砂
(名前など調査中)
白い砂です(笑)。粒の大きさはかなり細かく、また尖っていないような感じです。崩れませんが、比重が少し軽くて舞い上がることもしばしばあります。色は白く化粧砂のように綺麗です。
 クラウンローチのヒゲも立派に伸びているとのことで全く問題はないようです。また色飛びなども無いとのことでした。
活性炭砂? 使い古しの活性炭が底砂にならないか?ということで私が勝手に試しただけなのですが…。基本的に大きさは大きく、使い古しているので水質には影響は与えないようです。(使い古さないと、吸着能力がありますが、pHを上げる事があります)。一応孔があるので、濾材としての能力もありそうですが未確認です。強く押すと崩れますが、水の中で勝手に溶けたりはしません。比重はかなり軽く、ゴミと一緒に吸い出してしまいます。水に浮くものも…(^^; 非常に使いにくく、これを底砂に使う意味が分かりません。
 クラウンローチには…。ローチが泳ぐたびに舞い上がり、エサと間違えて噛みつく始末ですので、使う必要はないと言うか、使わない方が良いというか…。もともと底砂ではないのでやめておきましょう。
サンゴ砂 サンゴを砕いて砂状にしたものです。大きさは様々です。細かい砂粒状のものが主流のようですが、中にはサンゴの原型がわかる程度にしか崩れていないものも売られています。水質をアルカリ性に傾ける性質があります。水槽に入れてすぐに崩れることはないです。粒が小さいので掃除は他の砂同様の感じはしますが、やったことがないのでよくわからないです。また濾材として使われることもあるようです。
 クラウンローチには、水質面であまり適当ではないと思われますが、pHが下がりすぎるのを抑制するために使用している場面を見かけますので、水質などと相談の上で使い方次第と言ったところでしょうか。

以上、底砂のことについて説明しました。いろいろと種類があって迷うところではありますが、大抵の砂で問題なくクラウンローチを飼うことができますので、飼育環境や混泳魚、水草などの状態も考慮して一番良いと思われるものを選んでみてください。



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