ちょっと困る、こんなところ

 サイト内では主にクラウンローチの良いところ、魅力を紹介していますが、飼う上でちょっと困るところもここで少し話をしようと思います。こういうところを紹介しないで良いところばかり書いてしまい、それを見た方が飼った後で困って持て余してしまうというような不幸が起きて欲しくないという気持ちがあるからです。魚を飼うなら良いところも悪いところ(魚が悪いわけではなく、あくまでも人間側の都合で飼うのに困るという意味です)も知っておくべきだと思いますので。
 どんな熱帯魚にもちょっと困った性質があると思います。それはクラウンローチに限ったことではありません。エンゼルフィッシュはあの優雅な出で立ちにも関わらず、結構獰猛ですし、飼いやすいと言われる小型カラシンの仲間にもテリトリー意識が強くて激しく荒そう種類もいます。そういう性質を全てわかった上で飼うのが、飼育者としての最低限のマナーなのではないでしょうか。
 ということで、クラウンローチに関する注意点を書いてみたいと思います。

■大きくなったら

 クラウンローチは、環境にもよりますが3年も飼っていれば10センチ程度にはなると思います。遊泳力も強く、水槽の中でかなりの存在感を示すようになるでしょう。それにつれて、餌をとる能力も増してゆきますので、他の混泳魚の餌にまで手をつけるようになる場合があります。そうなると、混泳する魚を吟味したり、水槽のサイズを考えたりという作業が必要になると思います。これは大型になる魚の一般的な性質ですので、クラウンローチに限ったことではないのですが、この魚はある程度まで大きくなるんだという認識を忘れないでくださいね。と言っても水槽のサイズが小さければそれなりのところで成長が止まる魚でもあります。とりあえず、60センチのレギュラーサイズの水槽があれば、生涯飼育が可能だと思います。
 大きさについては、大きく育て!クラウンローチのところに、どの程度大きくなるのか予測できるものを用意してありますので、そちらも合わせてご覧ください。

■捕食(1):他の生き物

 もともと、クラウンローチは肉食傾向の強い雑食性の食性なので、生き餌が大好きです。水槽内のスネールを食べることなどからもそれはわかると思います。もちろん人工飼料にも問題なく慣れると思いますが、やはり彼らの好物は”肉”なわけです。と言うことで、何かのきっかけで、水槽内の混泳している他の生き物を”食べられる!”と思えば、それを餌として認識してしまう場合があります。ただし、飼育環境や個体差、えさの構成、人工飼料への慣れ具合などによるところも大きいようですので、確実にこれは良いとか、駄目とか、そういうことは言いにくい部分です。いくつか事例を挙げていただきましたので、混泳のところも参考にしていただければ幸いです。以下に、生き物の種類ごとにポイントなど書いてみました。(掲示板で情報および、アドバイスを寄せてくださった、あゆみさん、アオさん、越後屋ポン太さん、佐和子さん、アランさん、neko=^_^=さん、ナオルさん、きびたさん、ruiさん、ありがとうございます)

●他の魚
クラウンローチが大きくなってきた場合、小型の魚は標的になるおそれがあります。それを考えて混泳する魚を入れてくださいね。口に入るサイズの魚とは一緒に飼わないのが基本です。またコリドラスなど、おとなしいと言われる魚でもあることですが、弱った魚に対しては容赦がありません。他の魚の死体なども食べることがありますので、病気などで非常に動きが鈍くなってきた場合には早めに隔離をすることをお勧めします。

●エビ類
エビに対してとても興味を持つという情報を寄せていただきました。サイズがそれほど違わなくても、襲っている光景を見かけるそうです。また、エビは水質に敏感で、調子を崩しやすく、脱皮直後は外敵に対して弱い面があるなど、襲われやすい部分があると思いますので、混泳をするかどうかは十分に考えてみる必要がありそうです。またエビが隠れられる場所などを考えてみるのも必要かと思います。エビに関しても混泳のところに事例を載せてありますので参考にしてみてください。また、ミナミヌマエビなどのように、水槽内で繁殖するエビの稚エビは、おそらく食べられていると思いますので、そういうエビを増やしたい場合には混泳はしないほうが無難です。

●貝類
スネールバスターとして紹介されるくらいですから、クラウンローチは貝類も大好きです。水槽で飼育されることが多い石巻貝やアップルスネールなども注意が必要です。石巻貝はひっくり返ると、自力で起き上がれないことが多く、その隙に貝の中に鼻先を突っ込まれてほじくりだされることがあります。とにかくひっくり返っていたら早く起こしてあげてください。アップルスネールは、歩いているときでも貝殻から出ている部分が多く、そこをつつかれたりするようですので混泳には注意が必要です。


■捕食(2):水草

 クラウンローチは雑食なので植物もある程度は食べるようです。生き餌と植物でしたら断然生き餌を食べると思いますが、水槽に入っている水草を食害するという事例を掲示板に寄せていただきましたので、紹介します。まずは、クラウンローチに食害されたと見られるテンプルプラント・コンパクトの写真です。

画像提供:ジェイさん
綺麗に歯形がついております。次に、タイワンカガブタを実験的にクラウンローチの水槽に入れて、1日置いた様子です。左が入れた直後、右がその1日後です。葉っぱがほとんどなくなっています。
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画像提供:ジェイさん
このように酷い場合には、葉っぱを食べ尽くしてしまうようです。掲示板で食害されやすい水草とされにくい水草を伺ったところ、以下のような情報を寄せていただきました。(ジェイさん、佐和子さん、D・Kさん、あずたかさん、名無しのゴンベェさん、プレさん、ちゃまさん、tromboさん、ヒロさん、情報提供ありがとうございました)

●かじられたことがあると思われる水草
 ハイグロフィラ系(ポリスペルマ、ストリクタ、テンプルプラント、ラージリーフ、ロザエなど)、タイワンカガブタ、ロベリア・カージナリス、アナカリス、カボンバ、エキノドルス・ホレマニーグリーン・ブロードリーフ、エキノドルス・ホレマニーグリーン・ナローリーフ、アマゾンソード・ナローリーフ、スプーンソード、ウォーターウィステリアなど。

●かじられにくいと思われる水草
 アヌビアス、ミクロソリウム、バリスネリアなどの葉の硬い水草、アンブリア、パールグラス、ヘアーグラス、キューピーアマゾン、ウィローモス、マツモ、リスノシッポなど葉のとても柔らかい水草。

育てている水草がいろいろなので、少し偏りなどありますが、寄せていただいた事例は上の通りです。どうやら、クラウンローチにも好きなタイプと嫌いなタイプの水草があるようで、適度な硬さが必要なようです。また、エサなのか飼育環境なのかは今のところ不明ですが、私の水槽や話を伺った他の方のところでも、上記のかじられたことがあるとされる水草でも食害に全く合わないこともあり、一概に食害があるとは言い切れないようです。植物性のエサをあげてみるなど、これから食害対策も考えてみたいです。ただ上の結果から言えることは、水草を主体に綺麗な水景を目指す水草水槽にはあまり適していない魚であることは確かだと思います。ちなみに下の写真は食害にあった水草を再生させるために、透明な容器を逆さにしてかぶせています。こんな方法を使ったつきあい方もあるのかも知れませんね。

画像提供:ジェイさん

■白点病

 病気のページでも解説しますが、クラウンローチは白点病にかかりやすく、なおかつ治すのが一苦労というちょっとやっかいな性質があります。もともと皮膚があまり強くないというのが原因らしいのです。このことはきちんと認識して、白点病の早期発見と早期治療につとめる必要があります。といっても、毎日観察していれば、様子がおかしいことはすぐにわかると思いますし、早期であれば水温上昇や塩水浴程度の処置で治る場合が多いです。あまり参考にならないかもしれませんが、うちの場合は他の魚と同程度の割合でしか白点病になっていないと思います。それが完治する割合も同様です。水温は26度程度で特に配慮はしていないのですが、このようになるというのはやはり飼育水などの環境がうまくいっているからだと思います。まずは安定した水質と環境整備。これが白点病にかかりにくくする秘訣かと思います。



以上、クラウンローチを飼っていて少し困ること、挙げてみました。でも、私のように、クラウンローチを思いっきりひいきしてしまったいると、多少の食害とか、混泳魚の制限とか、大きくなること、などは気にならないです。それを補って余りある魅力があると思っています。ですけど、これは私の場合ですからとりあえず置いておきまして、上記のようなところがあると言うこと、しっかり認識した上で飼うかどうかを検討してみてくださいね。



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