あれこれ(2003年分)

■今年もいろいろありました 2003/12/30
 おそらく今年最後のあれこれになると思いますので、とりあえず今年一年のアクアな出来事をまとめてみようかなと思います。ということで、あれこれと言いつつ、私の勝手な反省文というか、備忘録になりそうな感じですが…(^^;
 今年は部屋の都合で水槽を小さくしたので、大きなクラウンローチを里子に出したり(これはねだられたという話もありますが(^^;)と、少し寂しいこともありましたし、毎年のことですが、死んでしまう魚もいたり、水草が調子悪くなったりして、反省することの多い年でもありました。その反面、また新しい魚をうちに連れてきたり、水槽の中で産まれてきたりと、嬉しいことも多かったです。それに、水槽が60センチメインと小さくなったので中・小型魚の飼育から、ほとんど小型魚中心にシフトしたりした年でもありました。また、ネットで熱帯魚について本格的に調べはじめたこともあり、それまでにはない、様々な情報を得ることができました。
 こうして考えてみると、この1年で飼育方法が変化しているなと気が付きます。それまでもずっと飼育をしてきましたから、今更飼い方が変わることは無いように思っていましたが、やっぱりいろいろと変わってくるものです。今年は特に得られた情報が多かったことと、飼育する魚の系統が変わったことで、飼育方法の変化も激しかったのかも知れません。それでも、大きな事故もなく、おしなべて平和に過ごせた事を考えると順調にステップアップできた年ではないかと思います。
 そして今年、最も嬉しかったことはクラウンローチ(熱帯魚)が好きな方とたくさん出会えたことです。HPをはじめる前には、アクア友達数人と熱帯魚の話をするのがせいぜいでした。それも、もちろん楽しいですけど、見知らぬ方と新しく知り合う機会が圧倒的に増えたのは驚きとともにとても有意義に思いました。ゲストブックに記帳してくださった方だけでも50人を越え、掲示板には100人以上の方が書き込みをしてくださいました。そして、ほとんど毎日のように書き込んで盛り上げてくださった方々には感謝のしようもありません。とても楽しかったです。こんな出会いがあったことが、今年の一番の収穫だったと思います。
 来年に向けては、まずはクラウンローチを大きく育てることを目標にしながら、水草なんかももう少しうまく育てていきたいです。また、1年間病気無しで飼ってみたいですね(ここまでが理想)。とはいえ、きっと来年も何か良からぬ事が待ち受けているのはほぼ間違いないような気がするのですが…(これが現実)。ということで、多少の波風があっても”ある程度平和な水槽”をなんとか来年も維持していきたいと思います。皆さんの水槽は来年、どんなふうに変わっていくのでしょうか。
 1年という長いスパンで見直してみると、水槽って、いろいろな変化があって、やっぱり生きているなと実感できますね。生き物を飼うって事は大変なだけじゃなくて、こんな変化も味わえる、とても楽しいことだと思います。
 では、来年もよろしくお願いします。

■生き物を飼うこと 2003/12/18
 今回はちょっとまじめなお話です。
 最近、ある映画がヒットしたおかげで、世界的にクマノミブームだそうで、クマノミが各地で乱獲されているというお話を耳にしました。また同じことが始まったのかと寂しくなりました。とりわけ、日本の熱帯魚業界というのは、元々市場が小さいのでヒット商品などが出にくく、儲からない体質のようなので、これを機会に少しでも儲けを上げようとお店やメーカーが躍起になるのではと半分あきらめてはいたのですが…。そして、何よりも悲しいと思ったのは、その映画を見た人が安易にクマノミを飼育するという事です。私はまだ映画を見ていないのですが、その内容を伺うに、水槽での飼育に対しては否定的で、むしろ自然を大切にしようと言う呼びかけがなされていると聞きました。それを見たら、クマノミを飼うことよりも、自然を大切にすることを考えるのが普通なのではないのかなと思います。でも実際には映画館を出たその足でクマノミを買いに行く親子も居るそうです。そんな状況をきくに、この映画の主張が見ている人には全く伝わっていないのではないかと思ってしまいます。
 こんなことを言っているのですが、うちの水槽には故郷を何千キロも離れて暮らしている魚たちが居るわけで、クマノミを買いに行く親子を非難する権利は1ミリグラムもないような気もします。できる限りの情報ときちんとした覚悟をもって飼っているつもりでいますが、こんな私も、実はその親子と同じ事をして居るのではないかと思ってしまいました。
 例えば、水槽が小さいのにそこで飼えない魚を買ってきては居ないだろうかとか、エサを十分にあげられない魚を買ってきては居ないだろうかとか、今の水槽に入れるのにリスクの高い魚を買ってきてはいないだろうかとか…。安易に飼育をはじめる事というのは、なにもいきなり海水魚をはじめるとか、そういうわかりやすいことだけじゃなくて、今日にでも私が熱帯魚屋さんに行って、ちょっと欲張って水槽にそぐわない魚を買ってくるのも同じ事なんだなと気づきまして、はっとした次第です。人ごとではないのですよね。我々アクアリストも気軽にやってしまう危険性をはらんでいることだと思いました。本当に生き物を飼うと言うことは大変なんです。私自身、とても考えさせられた今回のブームです。飼うのが悪いとは言いませんけど、心構えと準備を整えてからにして欲しいと思います。もちろん、私も含めて。
 こういうことがきっかけで、”きちんと考えて生き物を飼う飼い主”が増えてくれるのが一番なのですが、それは悲しいことになかなか理想の域を出ないのかも知れません。ですから、少なくとも私くらいは、なにも考えずに買ってくるのはやめようと思いました。
 こういうことがあると、映画が批判されることもありますが、私は一概に悪いとは考えていません。もちろん、売り上げを上げようとして、ブームを作り出しているのはわかるのですが、映画の内容を理解できる人が見に行くわけですし、水槽での飼育に否定的な内容なのですから、なおさら、それを見て観客の方もしっかりと考えなければならないと思います。
 私はこの映画はこの映画で楽しみにしています。私が知る限り初めて、熱帯魚が主人公の映画なので、DVDが発売されるのを心待ちにしています。それに熱帯魚についての理解が世の中に浸透するという意味ではとても嬉しく思っています。
 たとえブームで買われていったとしても、そのクマノミ達が、より多くの”きちんと考える飼い主”によって、しっかりと生き残れることを願ってやみません。

■過密飼育の誘惑 2003/11/2
 最近、掲示板などでもいろいろと話題になることもありますが、過密飼育のことについてです。こんな事を書くと、過密飼育を続ける私の弁解を書くつもりなんだな、けしからん奴だ!なんて思われる方もいらっしゃると思いますが、その通りかもと思っています(笑)。私の過密飼育は、水槽をいくつか置いてあるくせに過密飼育をしてしまうと言う、ある意味、確信犯的、計画的な過密飼育!だったりするので、論外というか、いろいろな方にも、魚たちにもこっぴどく怒られてしかるべきなわけでして、非常に反省するところです。でも、そんな過密飼育でなくとも、世の中には過密飼育をされている方はたくさんいらっしゃると思われるわけで、その理由の多くが、水槽を一つ、ないしは数個しか置く場所がない、買うお金がない…。でも、飼いたい魚はたくさん居る。なんて、現実と相反する欲求が作り出した一つの答えなのかなと思います。それに対して、”水槽をおけないなら魚を増やさない”という至極まっとうな考え方が出てくる余地が無くなってしまうというのも、アクアリストの弱いところなのかなとも思います。と、こんな精神論はとりあえず置いておきまして、気をつけていてもなってしまうことのある過密飼育です。でも、そうなってしまった以上はそれでも魚たちを病気なく、なるべく状態良く飼ってあげるのが過密飼育という過ちを犯してしまった飼い主の最低限の責務だと思うのです。
 ですので、過密飼育のコツのようなものをこんな時どうしよう?に少し書いてみました。もちろん、私が過密飼育を勧めているわけではないですよ。言うなれば、過密飼育を回避するために水槽を増やしたり、魚を買ってこないのが最善策ですので、そこに書いたのは、確実に次善策以下でしかありません。そのあたりはきちんと認識してくださいね。ということで、いつの間にやら過密飼育になっていた方、私と一緒に反省しつつ、読んでみてください。
 さて、この過密飼育ですが、なかなか厄介なのは知らないうちに(と本人は思っている)魚が増えてしまうということです。ということで、とある、熱帯魚好きの猫助(仮名)さん(最近水槽をはじめた)の場合のお話を書いて、どうして増えるのか考察してみたいと思います。

猫助:「ネオンテトラを買ってきたにゃぁ。10匹で400円とは格安@ うーん、何とも綺麗(うっとり)」
(次の日。熱帯魚屋にいる)
店員さん:「昨日のお客さん、ネオンテトラはどうでしたか?」
猫助:「綺麗だにゃぁ。でも、それだけだと何だかさびしくってA」
店員さん:「これなんかどうです?コリドラス。お掃除してくれますよB」
猫助:「なんか、かわいいにゃぁ。これ5匹くださいC」
(といって帰って水槽に入れて、ご満悦。でも、次の日もやっぱりお店に…)
猫助:「もう少し色の違うのが欲しいにゃぁ」
店員さん:「そうですか。これなんかどうです?グッピー。綺麗でしょう。それに増えますよD」
猫助:「こんなに綺麗なのに、増えるなんて!楽しみだにゃぁ。3ペアくださいE」
(といって帰って水槽に入れて、またもご満悦。でも、次の日もやっぱりお店に…)
猫助:「かわった魚が欲しいにゃぁ」
店員さん:「クラウンロ−チなんてどうです?横になって寝ますよ」
猫助:「横になって寝る!それはもうゲットだにゃぁ。5匹くださいF」
(といって帰って水槽に入れて、またまたご満悦。ネットで熱帯魚など調べてみる)
猫助:「こんなにいろいろな魚が居るにゃぁ。これは他の店にも遠征だG」
(といって次の日は別の店に。すると、見たことがない魚が居たりする)
猫助:「これは何だにゃぁ?」
店員さん:「ラミレッジという魚です。親が子育てしますよ」
猫助:「おお、それは凄いにゃぁ。2ペアくださいH」
(といって、連れ帰り、子育てを期待する。さらに、友達と熱帯魚の話などしてみる。すると他の人は結構いろいろな魚を飼っていたりする)
猫助:「もっと魚が欲しいにゃI」
店員さん:「…」
続く…。

断っておきますが、これは、決して、決して誰かの実体験などではなく、フィクションですので、勘違いなさらぬようお願いします。
さて、文章中にいくつかポイントとなるところに番号を振ってみました。そのあたりが過密飼育へと至る落とし穴のように思いますので、解説します。

@:まとめ買いで安くなるのは世の常ですが、熱帯魚は生鮮商品以上にまとめ買いは禁物だと思います。冷凍保存できないんですから。特に、水量が少なかったり、立ち上げ直後の水槽でこれをやると、かなり危険なことになりますので、お気をつけください。

A:これが過密飼育への第一歩です。水槽は寂しいくらいがちょうど良く、管理が行き届くのだと言うことに気が付くのは、ずっと後だったりするのが、かなり悲しいところです。

B:お掃除してくれる、コケとってくれる、スネール食べてくれる…。と言う類の事を言われると、水槽に入れないといけないのではないかというふうに錯覚しがちですが、別に居なくても困ることはありません。そのことに早めに気がつけると良いのですが…。もちろん、気に入ったなら買うのは良いと思いますが、便利な魚としてだけ入れると、この手の魚だけで水槽を維持しないといけないくらいに種類が居ますので、しっかり考えましょう。

C:まとめ買いで安くならなくても、まとめて買いたいのが人間の心理なのでしょうか?「とりあえず、3匹」とか、お店で言っちゃってませんか?きちんと数は考えましょう。水槽の前でじっと中を見つめて、気に入った子を選ぶようにしてみてはどうでしょうか?よく見ると、全部違うんですよ。

D:魚の繁殖は飼育の醍醐味ですし、魅力的な響きですが、それは同時に魚が爆発的に増えることを意味しています。過密飼育が、さらなる過密飼育を呼びます。そのことをしっかりと認識しましょう。

E:それ単体でのブリーディングを目指すならいざ知らず、普通の混泳飼育環境に、卵胎生魚を複数ペア入れるのはやめましょう。将来のことを考える余裕が欲しいところです。

F:何度も言うようですが、何も考えずに、いきなりまとめて買うのはやめましょう。まとめ買いできるほどの一般種なら、たいてい後からでも買えますので。この買い方は過密気味になる方の特徴ではないかと思います。

G:新しいお店を開拓するのは楽しいものですが、そこでとりあえず挨拶代わりに魚を買うのはやめましょう。どこに行っても浮かれることなく、しっかりと魚を見て、それを好きになれるかどうか、考えることが大事です。

H:卵生魚は混泳環境での繁殖が難しいことが多いです。ですので、繁殖を期待することと、過密飼育はたいていの場合矛盾しますので、そういう場合にはあきらめるという選択肢があることを頭に置いておきましょう。

Iアクアリストの持病ですので治療は不可能ですが、強い意志を持てるように頑張りましょう。

いかがでしたか?あなたにも思い当たるふしはありませんか?
わかっていてもやめられない過密飼育ですが、少しずつでも、ゆったり飼育に切り替えて行けたら、きっと魚も喜んでくれるものと思います。


■なぜ水を換えますか? 2003/8/27
 水槽維持のためのアドバイスで、水換えをしましょうなんて、よく言われますし、私も良く書くのですが、何で水を換えるのかって考えたことありますか?イメージとして、水を換えると、なんだか水槽の中の悪いものを外に出したような気がしますよね。実際問題として、掃除と一緒にやったりするので、ゴミを水槽から出す、硝酸塩を水槽から出すという役割があることは確かです。でも、水を換えるって言うことはリスクもありますよね。せっかく魚たちが馴染んでいた水が変わるのですから、当然ストレスになったりします。水槽に対して人間が行うことは、何をやったにせよ完全によい事というのはなくて、水槽を総合的に維持するために、ある一部のリスクを覚悟で何かをしているんですよね。餌やりだってそうです。魚が成長するのに必要ですから餌をやりますが、そのおかげで水質は悪化します。何事も表と裏があるわけですね。とそれをふまえてちょっと考えてみましょう。
 例えばそれまで調子の良かった水槽の中に病気が出てきたとします。その前の日に水換えをしていたとしましょう。だとすると、人間は不思議なもので、その間に因果関係を作ってしまいます。長い間平和→水換え→病気、という順番に物事が進むと、水換えをしなければ今も平和だったのでは?と考えるのが、どうやら人のサガのようです。実際のところ、しっかりとした設備で水質などを計って、魚も解剖したりして調べると本当のことはわかるのでしょうが、残念ながら我々アマチュアにはそれをやるだけの技術も設備もありません。ですので、勝手に想像力を働かせて、何かのアクションとその後のリアクションを結びつけます。でも、ここでもっと別の可能性も考えられるのではないでしょうか。例えば、ずっと平和だったように見えたけど、実際は病気が発生する一歩手前まで水質が徐々に悪化してきていて、水換えをしたことは良かったのに、それでも耐えきれずに発病してしまったということも、十分に考えられる仮説かと思います。もしもこちらの仮説の方が正しいのであれば、この水槽は悲惨なことになります。水換えが病気の原因だと思うならば、その後、水換えを控えるようになるでしょうから、そのまま水槽は悪い方へと転がってゆくことになりそうです。
 熱帯魚の飼育においては何かをしたから何かが起きたという因果関係をしっかりと特定するのは結構難しいと言えるのではないでしょうか。「底砂を掃除したら病気が出ました」とか、「濾材を交換したら病気が出ました」とか、このあたりならまだわかりやすいですが、「水をかき混ぜたら病気が出ました」とか、「こんな水質調整剤を入れたら…」、等々、他にもいろいろとありますね。言い始めると、実証できない仮説ばかりが出てきてキリがありません。ですので、因果関係がはっきりしないとき、私は無理矢理それらに理由を付けるのをやめています。もちろんいろいろな可能性は考えますが、考えるだけです。むしろそれよりも、”普段の世話を普通にやる”ことが大事なのかなと思っています。水を換えても、底砂や濾材を多少掃除しようとも、もちろん、水をかき混ぜたくらいで魚が病気になるのって、なんだかおかしいと思いませんか?水槽の調子が良ければたぶん、魚はその程度のことでは病気にならないと思います。それで病気になる魚は、それ以前にやっぱりどこか弱っているんでしょうね。だから、そんなことではへこたれないように育ててあげなければなぁと思うのです。そのためには、どうすれば良いんでしょう。はっきりとはわかりません。ただ、できることは多少の手間でもやってあげることが大切なのかなと思います。ですので、なにげない”普段のお世話”をさぼらないようにするのってとても重要なことかなって思っています。

■井の中の熱帯魚 2003/8/16
 少なくとも、日本の井戸の中で熱帯魚を飼ったら、冬などはおそらく低温で死んでしまうかなと思われますが、そういうお話ではないんです。画像掲示板にいただいた写真のことでちょっと考えたことがありまして。ある限られた空間の中に生態系を作り出して、魚を飼うというお話です。どうもイメージが井の中の蛙だったものでして…(笑)。
 餌も、水換えも、掃除もいらない、ある意味理想的な水槽です。アクアリウム用語では、パーフェクトアクアリウムなんて言われているようですが、その写真を見せていただいたので、興味がわいて調べてみました。いただいた写真のものについてはよくわからなかったのですが、他に調べた限りではパーフェクトと言いながらも一部手間がかかったり、たま〜に何かしなければならないことがあったりと、完璧なものというのはなかなか難しいようです。モナコ式水槽なんて用語もありますが、みなさんいろいろと考えられているようですね。これからのアクアリウムがそういう方向に進んでいくのかどうかはわかりませんが、一つの目指すべきジャンルとして存在しているみたいです。それで、このパーフェクトな水槽ってなにがパーフェクトかというと、自給自足はもちろんですが、自汚自浄(こんな言葉はないですが…)の能力も備えているということなんですね。つまり、水槽内に閉じこめた物質がどんどん形を変えて魚(生態系)を維持するということなんです。うーん、難しいお話になってきましたね。でも、こういうものって今の飼育の延長線上にあるんです。そこにはおもしろいヒントがありました。ということで、今回はそのお話です。
 ちょっと今の飼育方法を考えてみたのですが、現在の主流になっている飼育スタイルは、自給自足はもちろんできませんので、餌をあげていますね。自汚自浄については、糞→アンモニア→亜硝酸→硝酸塩という順番にバクテリアの力を借りて浄化して、硝酸塩を水換えによって排出する。ということで、やっぱりこれも人間の力を借りないと達成できていません。そのこと自体はいいのですが、パーフェクトアクアリウムが、パーフェクトたるゆえんは、中に入れた物の総量が変わらないで延々と維持できるということなんです。ということは、ふつうのアクアリウムでも、水槽に入れるものの量と水槽から出すものの量が同じになれば、現状維持が可能になるということではないでしょうか?つまり、おおざっぱに言うと、餌が硝酸塩になったのですから、取り出した硝酸塩を発生させる量だけ、餌をあげればよいということにならないでしょうか?もしも餌が多ければ、硝酸塩(もしくはそれ以前の物質)は増えていき、水槽が悪い方向へと向かいます。逆に餌が少なければ、硝酸塩は増えませんが、肝心の魚が育ちません。ということは、餌をたくさんあげたらたくさん水換え(濾過も強化)、少ししかあげなかったら、少しだけ水換え(濾過もあまりいりません)ということですね。中に魚がたくさん入っているから水換えをいっぱいしないといけないわけではなくて、中に入れる餌の量が増えるから水換えをいっぱいしないといけないということになるのではないかと思います。
 ということはです、一定のところで安定した水槽の場合、餌の量を決めるのは水換えの量なんですね(非常に乱暴な意見ですが(^^;)。餌をたくさんあげすぎてはいけないのは、水槽をバランスさせるために水換えの量を増やさなければいけなくなるからです。そして、水換えの量を増やすと水質の変化が大きくなり、魚への負担が増えることになります。このことから餌の量が多いということは悪循環を生み出すということがわかります。最適な餌の量って誰でも知りたいものですが、水換えの量とのバランスで、うまく水槽が維持できて、なおかつ魚たちが飢えてしまわない量が求められていることになります。難しいものです。
 と、こんなことを思ったわけですが、読み直してみたらある意味当然のことしか書いてないんですよね。入れたものは出す、出したものは入れる。一定の状態を維持したいなら当然のことです。こんなことを今更書いている私こそ、実は井の中の猫丸だったりするのかもしれませんね(笑)
 さて、最初に言ったパーフェクトアクアリウム。もしも自分の水槽がそれだったらちょっと複雑な気持ちがするなと思いました。なにもしなくてもいい水槽って、なんだか飼っている実感が沸かないです。せめて餌ぐらいはやりたいなと思いますが、そのうち、「餌なんてあげてはいけません。水換えなんてもってのほかです。水槽は手をふれずに放っておきましょう」なんてアドバイスをされる時代になるのかな?うーん、それはそれで、家を空けるときには便利ですが、普段はちょっぴり寂しいです。それと最後に、とても興味深い写真を見せてくださったharuruさん、ありがとうございました。

■楽しい熱帯魚! 2003/6/27
 某雑誌のようなタイトルで何とも申し訳ないのですが…(笑)。熱帯魚を趣味としている方に向けたコラムなので、熱帯魚が楽しいというのはある意味当然のお話なのですが、意外にも、熱帯魚を飼っているのに楽しくなかったことがあったなぁなんて、思ったのでちょっと書いてみます。
 熱帯魚を飼うと、必ずといって良いほど出てくる、理論があります。例えば、pH、GH、KH、亜硝酸、アンモニア、硝酸塩…の濃度。濾過バクテリアの分解サイクルのお話。病魚薬の成分と、寄生虫のお話…。しかも、それらが複雑に絡み合ってきたりします。他にもいっぱいありますが、全部理解するのは大変です。これを勉強していると、ちょっと楽しくなくなってきます。よしんば、これらを理解できたとして、さらに楽しくないことがあります。理屈通りにやっているはずなのに、魚が病気になったり、死んでしまったりするんです。せっかく勉強しておいてこれですから、たまりません。そうなると、圧倒的に楽しくないのは目に見えていることでして、それが嫌で飼育をやめてしまう方も多いのかなと思います。
 でも、よく考えてみてください。熱帯魚って上手に飼うことが目的じゃないんですよね(それが目的の方もいらっしゃいますが…)。水槽を泳ぐ綺麗な姿に癒される、おもしろい習性を眺める、エサに寄ってくる彼らを可愛がる、新しい命の誕生を観察する…。そんな楽しいことこそが目的なのであって、飼うことというのはそのための手段です。でも、熱帯魚を趣味としている多くの方はうまくいく手段を求めて彷徨ってしまっている気がします。熱帯魚のHP(うちも含めてですが)を眺めると、いかにして上手に飼うのかという話題は多いですが、いかにして熱帯魚を楽しむのかという話題は少ないと思います。手前味噌ですが、うちのコンテンツの中でもそう言えるのは、”クラウンローチ友の会”とか”写真館”くらいではないでしょうか。何かと飼育指南のような内容のHPが大半です(うちももちろん含まれます)。多くの人の悩みの種が飼育方法なのですから、決してそれが悪いわけではないのですが、熱帯魚ってこんなに綺麗なんだよとか、こんなにおもしろいことするんだよとか、そういう一番身近な楽しみを満喫させてくれるサイトというのは意外と少なく、そのことは逆に言えば飼育がうまく行かなくて楽しむ余裕のない方が多いことを示しているのかなと思います。ちょっと悲しいことだと思います。
 せっかく飼っているのですから、たまには濾過の話とか、水質の話とか、理論や方法論を忘れて、ぼけっと水槽を眺めて、綺麗で楽しい姿を存分に披露してくれる彼らを満喫してみるのもいかがでしょうか?
 「それは、おまえの家の水槽がうまくいっているから言えるのだろう」とお叱りを受けるかもしれません。確かに、私の戯れ言かもしれません。それに、病気などが発生して憂鬱な時があるのもよくわかります。でも、水槽の調子が悪いときこそ、魚たちと一緒に楽しむ余裕を持って接してみるのも一考ではないでしょうか。本来、趣味というのは1から10まで楽しくあるべきものなのですから。

■飼いやすい魚 2003/5/27

 熱帯魚の言葉に関するお話です。「この魚はとても飼いやすくておすすめです」なんて結構気軽に私も使うんですけど、ある掲示板でこのことについて議論がされていたので、ちょっと考えてしまいました。議論の内容は、あるコリドラスを初心者に紹介した方が”飼いやすくておすすめ”と一言書いたのが発端で、他の方がそんなことはないのではないかといろいろと例を挙げて反論なさっていました。議論の行方にはあまり興味は引かれなかった(揚げ足とりっぽかったのもありまして…)のですが、この”飼いやすい”という言葉は、初心者の方が熱帯魚を買うときの指針にされる割には、なんとも曖昧なものだなと思ったのです。
 飼いやすい魚と飼いにくい魚を分ける基準は何だろうかと思って、ちょっと考えたのですが、それを決めるにはいくつか項目があって、それぞれに点数を付けてその合計が高いか低いかで決まっているように思います。例えばこんな項目です。
  • 書籍などにどの程度の頻度で飼いやすいと書いてあるか
  • ネットなどでの他の飼育者の評価はどうか
  • 飼ったときに長生き(寿命近くまで)したかどうか
  • 飼ったときに病気になりやすかったかどうか
  • 飼ったときに困ることが無かったかどうか
  • 飼うための設備や維持にお金や労力がかからなかったかどうか
  • イメージ
  • 値段、入手しやすさ
他にもあるかもしれませんが、多分上記のような項目を何気なく頭の中で評価して、飼いやすい、飼いにくいという判断をつけておられるのだと思います。私もそうです。ですが、ここで問題なのは上記の項目は客観的な比較や評価が難しいという事です。書籍やネットの評価は見た本やサイトが皆さん違うのでしょうし、長生きや病気は飼育環境や購入時点の調子などで千差万別、困ることやお金や労力も飼育スタイルによってまちまち、イメージに至ってはそれこそ比較のしようがありません。値段と入手しやすさくらいしか誰でもがうなずける項目はなさそうです。ここからわかるように、飼いやすい魚という評価はあくまでも言った方の主観的なものであって、客観的な評価にはなれないということです。今更私に言われなくてもおわかりとは思いますが。とにかく、そのことがわかっていたので、上記の議論は水掛け論になると思い興味が無くなってしまったのです。
 でも、ちょっと考えてください。例えば、ネオンテトラとブラックアロワナ、どっちが飼いやすいですかって聞かれたら、きっとネオンテトラって答えませんか?私なら答えると思います。おそらくこれに異論を挟む方は多くないようにも思います。ということは、やはり飼いやすい魚と飼いにくい魚はいるのであって、知らない魚を飼おうかなと思っているときにはそういう評価があった方がうれしいのは確かです。そこで、私なりに飼いやすい魚の基準を考えてみました。
 熱帯魚店に行くとあることに気づくと思います。たくさん売ってる魚と、少ししか売ってない魚。よく売れていって回転の良い魚と、いつ行ってもずっといる魚。多分、前者は飼い易いんだと思います。逆に言えばお店としても売りやすいんです。だから、たくさんいるし、回転も速いのでは?と思ったわけです。こんな基準、どう思われるでしょうか?

■悪夢は忘れた頃にやってくる 2003/5/22

 ちょっと物騒な題名ですが、水槽を維持していて私が思うことを言葉にしたらこんな感じになっちゃいました。これはどういうことかというのが今回のお話です。
 私が思う、大雑把な水槽のライフサイクルは、
 立ち上げ→水質や環境の不安定期→安定期→ゴミの蓄積などによる環境悪化→水が古くなる→水槽の崩壊
という感じなのかなと思います。立ち上げてまもなくは魚も落ち着きませんし、水質も日替わりだったりして、魚が死んでしまうことが多いですよね。それを通り過ぎて、濾過バクテリアが定着し、環境に魚が慣れてくると、魚の死亡率も下がり、水草も茂って良い感じの水槽ができてくるでしょう。ですが、このときすでに水槽の中にはゴミがたまり始めているわけでして、いくら掃除しても全部吸い出すことはできず、徐々に蓄積されていき、それと共に濾材や底砂も痛んだりして、水が少しずつ古くなっていきます。それが限界に達したときに水槽が崩壊するのではないでしょうか。こんな感じの水槽のライフサイクルですが、このなかで良く語られるのは、圧倒的に立ち上げから安定期までだなとネットを眺めていて思いました。早くバクテリアを定着させるにはどうするか、なんて話題は探さなくても見つかります。立ち上げ当初は魚が死ぬことが多いのでそれで悩む方も多く、そうなると関連した記事も必然的に増えるのでしょうね。でも、水槽が崩壊する時期も立ち上げ時期と同じくらい魚が死ぬような気がするのですが、それについて書いてある記事ってあまり見かけないんですよね。崩壊へと向かう時期は安定へと向かう時期よりも、かなり長いので話題にされないのかもしれません。特に淡水の場合はバクテリアの定着も早いですので、立ち上げて1ヶ月もあれば安定期に入れることも多いでしょう。それにくらべて崩壊するときは、バクテリアが一気に死んだり、ゴミが一度にたまったりして、環境が急変するわけではなく、じりじりと悪くなっていくので、弱い個体からぽつりぽつりと死んでゆくような感じになりそうです。そうなると、安定期よりも死亡率が高いとはいえ、気が付かないのかなと思います。でも、これが、魚たちにとっては悪夢なのではないでしょうか。徐々に悪くなってくる環境のなかで、適応できなくなった魚から少しずつ減ってゆくので、ただ単に弱かっただけだと片付けられたり、長く飼育しているので、寿命だと思われることも多く、環境改善の手を打ってもらえないことが往々にしてあると思います。
 私たちはバクテリアを育てて自然のサイクルを実現していると錯覚しがちですが、限定された水槽にそれを望むのは無理だと思います。ですから、不自然なのは仕方が無く、不自然なら不自然なりに飼育者がしないといけないことがあるのかなと思います。立ち上げ時にいろいろと手を尽くすのと同じように、崩壊期にも気をつけてあげられたら、もっと長く魚たちと楽しい時間を過ごせるのかなと思います。

■良い濾材って何? 2003/5/7

 最近、濾過のお話を掲示板でする機会があったのでちょっとそのことについて考えてみました。
 よく、「濾過能力」という言葉を耳にします。私たちは普通に「その濾材は濾過能力が高いです」とか言いますね。私も言います。でも、これってなかなか微妙な表現だと思うんです。濾過能力って一体どうやって測るんでしょうか。物理濾過の能力は、一定時間内にこしとったゴミの量を量ればよいと思いますが、生物濾過の能力に関しては測り方がわかりません。アンモニアや亜硝酸の濃度測定ではたぶん駄目です。それは直接バクテリアの繁殖数や濾材の効率を表すことはできないでしょう。同じ条件の二つの水槽に別の濾材を入れて比較する。というのも考えられますが、そもそも同じ条件の水槽など作る事自体が無理でして。少なくとも趣味レベルの私に生物濾過の能力を正確に測定することは不可能だろうと思います。やり方があるなら知りたいです。そうなると、趣味レベルの方々の間で言われている濾材の能力というのは、評価した方の主観がかなり混ざっていると言えるのではないでしょうか。たまたま濾材を変えた後に病気が出なくなったり、たまたま苔が減ったりしたら、その濾材はよい濾材だと言うと思います。本当にそれが濾材の効果なのかという検証はなかなか難しいものです。だからといって、そういう濾材の評価をしていらっしゃる方々の言うことが無意味なものだと非難しているわけではありません。濾材の効果で良くなった場合ももちろんあり得るのですから。それに、その方の水槽で使った場合は良かった(悪かった)という評価は、似たような状況の方にとっては有益な情報だと思います。とはいえ、濾材の絶対的な性能評価は理論値としてしか導き出せないと思われるわけでして、いざ自分の水槽に合った濾材を選ぼうとするときには、なかなか情報を役立てにくいのが現状と思います。
 私は今までにいろんな濾材を使ってきました。NASAにも納品している世界的に有名な濾材を作っているメーカーのもありましたし、100円ショップに売っているスポンジを切っただけの濾材もありました。でも、今振り返ってみると、それらに明確な能力差を感じたことは無いように思います。はっきり言ってしまいますと、どれを使っても満足してました。たまにあからさまに駄目な濾材(崩れたり、解けたり…)もありましたが、それ以外の濾材に優劣を付けることは難しいと感じています。その理由はおそらく、私の飼育環境にあるのだと思います。私はもちろんアマチュアでして、シビアな結果を要求していない環境だということです。そんな環境下で使うなら、今売られている生物濾過用の濾材なら、ほとんどどれを使っても私に満足感を与えてくれる性能を持っているんです。そして、濾材の本当の違いというのはプロレベルの飼育をしたときに現れるものじゃないかなと思います。簡単に言いますと、”素人の私に濾材の本当の善し悪しはよく分からない”のではないでしょうか。 なんか、身も蓋もないというか、無知をさらけ出しているというか、どうにも頼りない結論なんですが、正直なところそう思っています。でも、これは逆に、それなりのメーカーの濾材なら、素人レベルの水槽を維持するのには大抵安心して使えるという事だとおもっています。だからこそ、私がいろんな濾材を無節操に使ってきてもそんなに問題が出なかったのではないでしょうか。
 私が何かの濾材について聞かれたなら、もちろん使ったときの感想をお答えします。でも、この生物濾材とあの生物濾材はどちらが良いんですかと聞かれたら、きっと答えに困ってしまうでしょうね。そして答えるとすれば、自分が使ったときに良い印象を持った方という、何とも主観的な評価でしかないように思います。

机上論ありますか? 2003/4/20
 今回はちょっぴり変な話題です。私の妄想とも言います(笑)。ですので、あまりまじめにお読みにならないことを強くお勧めしておきます。笑い話ですので、もちろん、真似などしないでくださいね。
 机上の空論というと悪い意味でしか使われないことが多いですが、私の頭の中の机の上や引き出しの中にはいろいろな理論が書かれたレポート用紙が散乱しているわけでして、それらがたまに頭の中から現実にひょっこり顔を出すので始末に負えません。今回はそんな机上の空論のお話です。
 まず、現在の熱帯魚飼育では否定された感のある飼育法として、「1週間で全喚水、底砂も濾材も洗って綺麗さっぱり」というのがあります。昔はこれが正々堂々と本に書かれていたのですが、生物濾過至上主義の現在においては、全くダメダメな方法とされています。でも、私の机の上にはこの理論が未だにうまくいきそうなファイルとしておいてあったりします。生物濾過って、水中のアンモニアや亜硝酸を無くすることが目的ですから、それをバクテリアにやってもらうか、自分の手でやるのかの違いでしょう。と理論展開されています。1週間ではなく、毎日取り替えたら良いのかも。みどポンみたいに連続注入して、オーバーフローで排水すれば、もしやうまくいくかも。なんて思っていたりもします。
 日光のお話です。苔が出るからやめておけといわれて、窓際に水槽をおく人はあまり居ないのではないかと思いますが、私の机上論では蛍光灯よりも強力な光で水草もスクスク育ち、魚だって自然の光の方がうれしいんじゃないのかななんて考えがあったりします。苔にしても、机上論で言えば、水草の方が強力に成長して養分を全て吸収すれば苔の生える余地は無くなるはずですから大丈夫ということになります。
 まだまだいっぱいあります。オトシンクルスとか、エビとか、草食性の小魚を入れて水槽に苔をたっぷりと生やしていたら、エサを入れなくても魚が飼えるんじゃないか。とか、敵がいっぱい居た方が危機感があるので、子孫を残そうとして繁殖しやすくなるから、混泳水槽の方が隔離水槽よりも繁殖を狙えるんじゃないかとか、コリドラスは水深3センチで飼えるんじゃないかとか…。書き始めるときりがないのでこの辺にしておきます。
 どれも私の机の上ではうまくいく方法なのですが、何らかの理由で否定されていますね(もし実践している方がいらっしゃったら教えてください。とっても興味があります)。もちろん、私も否定する理由をいろいろ思いつきますから、実際にはやらないのですが、昔は1週間で全喚水していたのが、十数年しかたたずに否定されるほどに飼育方法の変化があるわけですから、こういった机の上のお話もいつか現実のものとなって私たちの前に姿を現すこともあるのかもしれないと思っています。いつか、「生物濾過って何?」とか、「なんで日陰に水槽置くの?」とか、今の飼育方法が机の上の理論にされてしまう日も来るのかもしれませんね。

初心者のための器具 2003/4/11
 どんな趣味をはじめたにしろ、はじめた頃は誰でも初心者なのですが、その趣味を続けていけるかどうかというのは初心者の時をどう過ごすかで決まってくるのではないかと思います。熱帯魚飼育で言えば、初心者の頃に耐え難いほどの魚が死んでしまったり、病気が出続けたりすると、やはりやめてしまう方向に行くのではないかと思います。逆に上手く水槽が維持できて、繁殖なんかも成功したりすると、意外とすんなり飼育を続けていけるように思います。いろいろな意味で「初めが肝心」ということでしょうか。アクアリウム用語のところで初心者にはわかりにくい言葉のお話をしたのですが、それと同じように器具もちょっとわかりにくいかなと思ったのでそのことについて書いてみます。
 まずは濾過装置。いろいろと特徴とかあってそれだけで悩むのですが、皆さんは買うときにパッケージで何を見るでしょうか?消費電力?水流量?濾材容量?うーん、これらは少し経験を積んだ方が見るんだと思うのですよ。私が思うに端的に濾過装置が自分の環境で使えるかどうかを知るのは「この濾過装置は?センチ水槽(?リットル以下)用です」という記述じゃないかなと思います。ちなみに、水作エイトMだと45センチ(35リットル以下)用と書いてありますし、エーハイムの2213には60〜75センチ(60〜100リットル)用と書いてあります。でも、ちょっと待ってください。60センチ水槽にネオンテトラ一匹のときと、45センチ水槽にクラウンローチを10匹のときと、どちらが強力な濾過装置が必要なのかって考えたら後者の方ですよね。でも、上の性能表示に従えば、ネオンテトラ1匹に2213で、クラウンローチ10匹に水作エイトになりますよね。これは極端な例ですし、揚げ足取りっぽいです。実際問題、水槽の大きさと収容魚は比例する場合が多いですから。でも、?センチ水槽用って書くくらいなら、どのくらいの大きさの魚を何匹くらいまで飼えますよって書いてくれた方が便利だと思うんですよ。
 次に照明、これも濾過器と同じ理屈です。何ワットって書いた隣にでも、例えばこのくらいの水草が育てられますとか、水草用じゃなくてただの明かりですとかって書いてくれたら良いと思うのですが。
 その点、ヒーターは水量に関係しますので、ワット数だけじゃなく、このくらいの水量のためのヒーターと書いてある(ニッソーとGEXは確認しました)のは良いと思います。
 器具とは言えないかもしれませんが、病魚薬です。例えばメチレンブルーには白点病、尾くされ症状、水カビ病の治療と書いてあります。そんな病気の名前を書かないで、魚がこうなったときに効きますなどと、現象を書いてくれたら良いと思うんですけど。
 結局、濾過器、蛍光灯、薬、その他にもいっぱいありますが、何かの手段で情報を仕入れて(白点病とは何かとか)から買いに行かないと、迷うような気がします。今でこそ、インターネットで検索すればいくらでも手に入る情報でしょうが、初めから調べさせることを前提にして物を売るというはどうかなと思います。特に初心者の時は何かにつけて不安がつきまといます。ネットで調べても、その情報に自信を持つことは難しいのではないでしょうか。実際の商品の箱に書いてある方が安心して買い物ができると思います。

■熱帯魚な人々 2003/4/7


 私が熱帯魚を飼い始めたのはかなり前の話なのですが、熱帯魚を飼っている方々とネットで交流をし始めたのはつい最近、今年になってからです。それには理由がありまして、それも交えて、ネットで出会ったアクアリストの方々について思うところを書いてみたいと思います。
 私がとても強く思うのは、ネットのアクアリストの方々はとてもお優しいということです。この文章がアクアリストの方に向けられたものだからという社交辞令ではなく、心底そう思っています。
 私は仕事柄、コンピュータ関係のサイトで情報収集などする事も多いのですが、そういうサイトは玄人向けになればなるほどBBSでの質問などはしにくく、しかも少しでも間違いがあろうものなら冷やかされたりすることも少なくありません。そういう環境に慣れたせいか、私はネットのBBSなんてそんなものだろうと思っていました。ですので、仕事なら仕方がないとしても、せっかく楽しい趣味の熱帯魚なのにネットで疲れる問答をしてもつまらないと思っていまして、BBSに書き込んだりはしてきませんでした。でも、今年に入ってどうしても聞いてみたいことがあり、あるBBSに質問をしてみたのです。そうしたらとても驚きました。とんでもなく丁寧に、わかりやすく、答えが返ってきたんです。私にしてみれば本当に感動的なレスでした。でも、それはそこだけの話かななんて思って、他にも疑問だったことをいろいろなBBSで書き込んでみたのですが、大半のレスが非常に親切なもので、その時に「熱帯魚飼ってる人たちは結構優しいんだ」と思いました。コンピュータは仕事にしている方も多いですから、殺伐とするのは仕方がないことかもしれません。特に仕事で使うような面倒なお話は自分で調べろと言われるか、無視されるのもわかります。有益な答えが返ってくればラッキーなのでしょう。でも、他の趣味のサイトと比べても、アクアリストの方々は穏やかな気がしています。私は自転車ツーリングを見たりするのが好きなのですが、そういう話をしているサイトを見ていても、初心者お断りな雰囲気があるところを結構見かけます。アクアのBBS全てが優しいとか、コンピュータ関係のBBS全てが冷たいわけではないのですが、あくまでも私の出会った範囲では確率的にアクアリストの方々が優しく見えます。皆さんが暖かく情報交換をしているいろいろなサイトの雰囲気がいつまでも壊れなければいいなと願うばかりです。


■水槽を観察しよう 2003/4/3


 何を、当たり前のことを言ってるんだと思われるかもしれませんが、私はこれはとても大事なことかなと思いますので、そのことを少し書いてみたいと思います。
 もともと、熱帯魚を飼い始める動機として多いと思われるのが、「綺麗な魚が美しい水景を泳ぐ水槽を部屋に置きたいから」というのがあるのではないでしょうか。だとすれば見るために買ったのですから、見るのは当たり前。という事になるのですが、実はあまり水槽を見ていない方が意外に多いのではないかと思います。かく言う私もその一人でして、見るには見てるんです。でも観察していないんですね。おそらく、水槽を買って1週間くらいは、毎日目を皿のようにして水槽の隅々を眺めると思います。ですが、その期間が過ぎると、水槽がだんだんと生活の中にとけ込んできます。すると、見ているようで見ていないことが多くなってくるんです。朝、出勤前に眺めて、帰宅後に眺めて、綺麗だなと思う。癒されます。全体を見渡して特別大きな変化が無ければ良しとして毎日が過ぎてゆくようになります。それは、部屋に水槽が自然にとけ込んだのですから、喜ぶべき事なのでしょう。ですが、私たちにとっては見慣れた水槽も、その中では、日々刻々と状況が変化しています。いつの間にか大変なことになっている場合があります。そして、大変なことに気が付いたときには手遅れの場合が多いです。毎日見ていたはずなのに、気づかない。意外と盲点なんですね。
 私も飼育をはじめて半年くらいのころ、飼育にもだんだん慣れてきて、油断が出ました。水槽がほぼ壊滅したことがあります。白点病です。早期に発見すれば怖い病気ではありません。数匹が死んでしまうことはあるかもしれませんが、少なくとも水槽が壊滅することは無いと思います。しかも、白い点が見えるんですから、こんなに見つけやすい症状は無いですよね。でも、それで壊滅しました。なんで毎日見ていたのに気が付かなかったのかな、と考えてみると、見てはいるけど、観察してなかったということに思い当たりました。魚に出た白い点にさえ気が付かないようでは、見ているとは言えません。深く反省しました。
 毎日1分で良いですから、水槽の前に長く居て、1匹1匹に注目して魚の様子を見てあげてください。難しいことではありませんから。たったそれだけで、防げるトラブルは思いのほかたくさんあると思います。それに、いつもは見逃しているおもしろい姿を見せてくれる事って結構あるんです。そういう発見が出来るのも楽しいですから、ぜひぜひ水槽の観察をおすすめします。


アクアリウム用語 2003/3/26

 専門用語というのはまったくもってわかりにくいものでして、パソコンなんかが良い例でしょうね。横文字の用語集を見ただけでやめてしまう方も結構いらっしゃるように思います。アクアリウムにも専門用語はありまして、やはりある程度勉強して基礎的な知識がないと、飼育のHPを閲覧したり、BBSで質問したりするのもなかなか大変ですよね。パソコンは趣味よりも仕事で使うことが多いような気がしますので、勉強してくださいって言われたら、はいそうですかと頑張らないといけないわけですが、熱帯魚を飼うのに頑張らないといけないのはちょっと嫌ですよね。私も趣味は楽しむためにあると思っているタイプなので、勉強とかが伴うのは苦手です。そうはいっても厳然として、知っていないと困る専門用語はあるわけで…。結局、少しは勉強しました。でも、それ以上の事があるんですよ。業界用語とでも言うのでしょうか。それが今日のお話です(長い前振りですいません)。
 「水を作る」 よく聞く言葉です。はじめ、この意味が全く分かりませんでした。水は水道から出てくるものです。なんて思うんですよ。
 「こなれた水」 ただ単に古いだけの水のことではないのです。それがわかるまでに少し時間がかかりました。
 「濾過ができてない」 濾過装置を付けたら、普通はできたと思うんですよね。
 「猛毒の水」 こんな中に魚が入っていたら、一瞬で死にそうに思います。でも、生きてるんですよね。パイロットフィッシュは。
ここに挙げたのは主に水質に関する言葉です。やはり熱帯魚飼育は水質が話題になることが多いのでしょうか。この手の業界用語はよく見かけます。BBSなどを見ていると頻繁に登場しますね。文脈から何となく意味は想像できるのですが、知らない人が見たら、誤解を招く表現であると思います。
 「落ちる」 今となっては聞きたくないし、言いたくない言葉の筆頭ですが、はじめて聞いたとき魚は気絶するのかと思いました。
 「ブラインを沸かす」 沸かすっていうとイメージするのはやかんです。ブラインて、高温で発生する?
 「3年ものの大磯」 ワインじゃないんですから、時間がたって何が良くなるのか理解できませんでした。
このように思いついただけでも結構あるんですよね。業界用語って。
 1週間もネットで情報収集をすれば、おそらく理解できる言葉ですが、つい先日熱帯魚を始めた友人がよくわからないといって私に聞いてきたのでハッとしました。少し不親切な表現だと気づかされました。これからは特に初心者向けのコンテンツではなるべく使わないようにしないといけないな、なんて思いました。ですが、業界用語も悪いことばかりではないのです。それを知っている人たちにするとすごくわかりやすく、説明が簡潔になり、話がスムーズに進むという立派な利点があります。BBSなどでは逆に使った方がうまく状況を表現できると思います。ですので、情報発信者の一人として、その辺りの使い分けをしっかりしないといけないなと強く感じました。皆さんは業界用語をどう思われるのでしょうか?
 業界用語ってどんな業界にもあるんですよね。その用語で自由に話ができるようになるころ、初心者は卒業なのかもしれません。


早起きランキング 2003/3/10

 久しぶりに自分で早起きなんかすると、すごく偉いぞ、私。なんてよくわからないことで自画自賛してみたりするのですが、そんなこの間の朝の話です。とっても早起きしたので、外はまだ薄暗く、やっと朝日が昇ろうかという時間です。私の水槽は私の枕元にあるのですが、体を起こすとすぐに目に飛び込んできます。薄暗い中、目を凝らしてみてみますと、寝てます寝てます。熱帯魚たちはみんなぐっすりです。ネオンテトラやヘテロモルファなんか、色が無くなっています。プラティやグラミーはお腹を底砂にくっつけて居ますし、クラウンローチは流木ハウスから尾鰭だけ出して寝ています。ということで、めったにない早起きを記念して、熱帯魚たちの早起きランキングを付けてみたいと思います。
 しばらく見ていますと、徐々に外が明るくなり、部屋も朝日が射し込んできます。まずは、明らかに動き始めたのが、シルバーシャークでした。中層を漂いながら寝ていた彼(彼女?)は、ブルッと震えたかと思うと、いきなりすぃーっと泳ぎ始めました。とっても高血圧な感じのお目覚めです。なんか、体に良くないような…。生活習慣病にかかったら嫌ですね。なんて考えていたら、次に起きてきたのはペンギンテトラ及び、グラスブラッドフィン。彼らは起きるなり、追いかけっこを開始しました。魚って、目覚めは良いのでしょうかね?それらの動きに触発されたのか、他の魚も次々に起き始めます。Xテトラ、ヘテロモルファに続いてグラミーがゆっくりと体を持ち上げます。なんか、起きる姿まで優雅でアンニュイな感じです。うん、すごく色っぽい。そして次が、あのうるさいプラティ軍団でした。起きるなり、水面に集まって餌くれダンスを踊り始めます。彼らは餌のことしか頭にないようです。そうこうしている間に、いつの間にかオトシンクルスが動いていまして、寝ているのか起きているのかわからないイシマキガイに吸い付いていました。そして、コリドラスが、流木の向こうからヒゲをぶるぶる震わせながらやってきました。そのころになると外も明るく、そろそろ朝食の時間です。「やっとみんな起きたね。ふうん、こんな順番で起きるのね」と感心していたら、流木の中に未だに動かないオレンジのヒレを発見。寝姿が完全に寝る体勢の彼らは朝寝も得意なようです。「寝る子は育つって言うし。うんうん、寝ていなさい」と言って私は朝食を食べに行きました。
 ちなみに、朝食後、出勤前の餌の時間にはクラウンローチもしっかりと起きていまして、魚にとっては餌というのはなかなか重要な事なんだなと改めて感じた朝でした。


■熱帯魚屋さん事情(私の予想・地方都市編) 2003/3/3

 
私たちが魚を入手する経路として一番身近なのが、近所の熱帯魚屋さんだろうと思います。通販は輸送されてくる魚が可哀想だと思っているので利用しない私としては、”近所の熱帯魚屋さんの品揃え>私の水槽の魚たち”となるわけでして、その品揃えが非常に重要な問題なのです。私の住んでいるのは典型的な地方都市で、それなりに大きいけど、大きくなり切れていない感じで、ちょっぴり半端な場所だったりします。当然の事ながら、熱帯魚屋さんの数もそんなに多いわけではありません。だからといって、他の都市に行こうかなと思いきや、北海道という土地は、広いのが取り柄、そして欠点なので隣の都市まで車で片道4時間なんてことも結構あるんですよね。となるとやっぱり市内で調達するというのが普通の行動になります。ところが、市内の熱帯魚屋さんを何軒か回ってみるとわかるのですが、売っている魚の種類が似かよっているんですね。こっちの店で、今日セルフィンモーリーが入荷していると、もう一つの店でも入荷していたりして、しかも同じ値段。そんな場面に何度も遭遇しました。と、ここで考えるのは、問屋さんが同じなのでは?という予想です。調べることはできなかったのですが、売っている魚の種類を見ているとどうもそんな気がしています。店が何軒もある意味がないなぁ、なんて思うのですが、やっぱり需要がそんなに多くない地方都市に問屋さんが乱立していても儲からないだろうし。と、勝手な想像が膨らんで、結局行きつけのお店で魚を買って来るんですよね。そして、仲良くしている店員の方に「今度、○○○って魚飼ってみようかなって思うんですよ。あはははは」なんてさりげなくリクエストしてみたりして。
 私よりもお店の少ない地域の方はたくさんいらっしゃると思いますので、贅沢は言えないのですが、やはりいろいろな選択肢の中から選びたいと思ってしまうわがままアクアリストなんですね、私は。


■苔る水槽(うちの場合)  2003/3/1


 アクアリストの悩みをアンケートしたら、必ず5位以内には入っているであろう水槽の苔問題。苔が生える原因は、照明、肥料、二酸化炭素など、いろいろな要素で決まるのでしょうが、そういう詳細な話はあまりわからないで別のアプローチで話をします。あくまでもうちの場合の話なのですが。
 苔で悩むときに、私たちは苔を苔としてしか見てないような気がします。おかしな言い方ですが、苔も水槽の生態系の一つの要素でしかないということを忘れて、なんとしても苔を撲滅するという強い使命感に駆られ、苔のことしか見えていない事が多いように思います。実際私もそうでした。そうなると、苔を直接攻撃するという方法が頭に浮かぶのも自然な流れでしょう。ですが、私が今までいろいろやってきて感じたのは、苔を攻撃しても無駄なんじゃないかなという事です。確かに、見える部分を全て排除することはできます。ですが、その効果は大抵一時的なものでしかありません。あくまでも”見える部分”のみを綺麗にしただけに終わることが多いです。毎回見える部分を掃除すればいいと言ってしまえばそれまでなのですが、苔掃除が熱帯魚飼育のメインになってしまうのは何とも悲しい気がします。
 では、生態系の一部として見たときに苔をどうすれば無くせるのでしょうか。まず、無くするという発想が違うんだと思います。生態系を支える要素なら無くせないという観点に立たないと、話は始まらないですよね。ですが、無くすることはできなくても鑑賞上問題のない程度に押さえておかないと意味がありません。では、どうやって押さえればいいのでしょうか。水槽の生態系がどうやって維持されているかを考えれば答えはそんなに難しくないと思います。苔も水草も植物ですので成長に必要な栄養分はあまり変わりません。そして、水槽内にある(入ってくる)栄養分の量は決まっています。水槽の中の栄養分は水草と苔に吸収され、吸収された分だけそれぞれが成長します。そうすると、水草をたくさん入れると苔は生えにくくなる、栄養分を減らすと苔は生えにくくなると言えるのではないでしょうか。と、ここまでは理屈の話。実際どうなのかと思い出してみると、水草を入れた方が苔の発生は少ないように思います。餌の量を減らしてからも苔は少なくなったように思います。ですが、それほど目立って減った気がしません。なぜなんでしょうか。よくよく考えてみると、ライトが4灯だったんですね(私の話ですよ)。光も苔の発生にかなりの力を貸します。そして、光は全てに均等に当たりまして、水草の数を増やしても水草だけに光を当てるのは無理です。でも、光がないと水草も枯れてしまいます。高光量時の苔に対する解決策は他のサイトにお願いすることにして、私はその時に多量の光を必要とする水草を飼育するのを控えることで苔をなくそうと考えました。魚の飼育をメインに考えるので、そういう結論になったのです。それが現在の水槽の元になっています。陰性(光をあまり必要としない)植物をメインにして、蛍光灯を1本まで減らして、苔にも光をあまり与えないようにします。その上で水草を増やすと、苔は見る見るうちに減少していきました。おそらく、光というエネルギー源を絶たれて、さらに栄養を他の水草に取られたことで、生存することが難しくなったのだろうと思います。もちろん今でも苔はありますし、たまに水槽の苔落としはします。でも、以前ほど必死でやる必要は無くなりました。
 生態系のバランスをきちんと考えてそれをうまくコントロールしてやれば、ある程度は自分の思うような水槽にすることはできると思います。まあ、思い通りに行かないことも多いのですが(笑)。ともあれ、いろいろ自分で考えて試してみるのも熱帯魚飼育の醍醐味ではないでしょうか。
 ちなみに、上記の方法はうちの場合ですよ。真似をなされても諸条件が違いますからうまくいくとは限りません。まずは自分の水槽をよく見て、それに合わせてやってみてくださいね。


■飼ってるのはどっち?  2003/2/20

 熱帯魚は成長するのが早い種類と遅い種類が居まして、早い種類は短命で遅い種類は寿命が長い傾向にあります。飼育者(私のことです、一応)というのはわがままなもので、卵が生まれると、早く孵らないかななんて思って、稚魚になれば、早く大きくなれよとせっせと餌をやるわけです。でも、いい加減大きくなってくると今度は長生きしろよと言いながらまたせっせと餌をやっていたりします。矛盾してるんですよね、これって。早く大きくなるって事は早く死ぬって事です。それなのに、私は早く大きくなる上に長生きすることを要求するわけです。そんな要求を突きつけられる魚たちは迷惑なものでしょうが、こんなわがままを水槽に向かってぶつぶつ呟くことが許されるのが飼育者の特権ってものでしょう。
 うちでは日常的にプラティが増えています。里子に出したりして飼育数自体はあまり変わらないのですが、常に10匹程度の成魚と20匹程度の稚魚が居る状態です。それにコリドラスがたまに産卵したり、夏になるとメダカが爆発的に増えたりと稚魚を見る機会が頻繁にあります。でも、今挙げたどれも寿命が短いんですよね。どんどん成長するのはうれしいんですけど、どんどん寿命がつきていく。死んだときにはこんなんならもう生まれてこなくてもいいよ。なんて思うのに、次の日水槽の中にプラティの稚魚なんかが泳いでいると、うれしくなって必ずすくって大事に産卵箱に入れてしまいます。逆に、クラウンローチなんかは成長が比較的遅く、一生懸命餌をやってもなかなか大きくなりません。ここで成長が止まっちゃうんじゃないか?なんて余計な心配をしたりします。でも、そのかわり、彼らは名前を付けられるほどに長生きしてくれるのでそれはまた非常にうれしいのです。
 こんな感じで、私は魚たちと接しているわけですが、彼らは私の勝手な願いなどお構いなしに生きています。それに振り回されながら、一喜一憂して飼ってる私は、実は魚たちに飼われてるんじゃないかな?なんて思うことがあります。でも、どちらだったにしろ、私は水槽の前にいるときが結構幸せだったりします。


■理論と実際  2003/2/18

 熱帯魚を飼っていると、いろいろな理論にぶつかることがあります。有名なのが濾過バクテリアのお話。アンモニアから亜硝酸、そして硝酸塩への変化とバクテリアの関係を表など示して説明してくださるサイトも多いですね。そこから、硝酸塩を水換えでくみ出す必要があるという話で濾過の説明がさせていることが多いようです。あとは二酸化炭素と光と光合成量の関係。理科で使われる式がありますから、そこから理論的には光か二酸化炭素をやれば光合成が増える(水草が育つ)という理屈が導き出せるわけです。全て理論的には説明されている事柄ですので、間違いはないのでしょう。ですが、それを元にして実際に水槽を見てみると何とも違った結果になっているように思います。一生懸命水換えしてるのに魚が死ぬ方、二酸化炭素をひたすら添加してるのに水草が枯れる方、よく見かけます。でも、理論が間違ってるとは私も思わないのです。では理論と実際の間にはどんな差があるのでしょうか。仮にその差を引き起こす要因を不確定要素と呼びましょう。私が思うに、水槽での熱帯魚や水草の飼育というのはこの不確定要素が非常に大きいのではないかと思うのです。理論自体を無意味にするくらいに。ですから、もっと不確定要素を減らした理論があれば、実際の水槽の現象を語る事はできるのでしょうが、残念ながら一般レベルでその様な理論にお目にかかることは少ないように思います。実際、硝酸塩の話にしても、元々のアンモニアから生成される硝酸塩の量は決まっているはずなのに、計ってみると水槽内に硝酸塩がほとんど無いこともあります。それらはいったいどこに行ったのでしょうか?水草に吸収された、嫌気バクテリアに分解された、など考えられますが、現状でこれも含めた水槽の硝酸塩濃度を示す理論を見つけることは難しく、これらが全て不確定要素になってしまっています。二酸化炭素もそうです。添加すればある一定の水草の生長を望むことができるはずです。でも、そこまで成長しないことも多々あります。それは多分、空気中に逃げてしまったり、苔に奪われたり、といった不確定要素に振り回されているからだと思います。
 これらのことから考えるに、理論は理論で必要でしょうが、実際の水槽維持にはそれよりも経験がものを言うように思います。こうだからこうなるはずだ。ではなくて、こうやったら、こうなったんだ。という経験則って大事だなと思います。ですから、私も理論よりも経験をなるべく重視してコンテンツを書かないといけないかななんて常々思っています。不確定要素を無くし、水槽内の現象全てを理論で説明できる日が来るまでは。


■食べるの?逃げるの?
  2003/2/14

 いつも結構肩の凝る話が多いあれこれのコーナーなのですが、たまには違った話題を思いついたので書いてみました。うちの魚たちを見ていて思うことなのですが、餌にありついているときの姿が何とも尋常じゃ無いというか、普段の姿からは想像もできないほど積極的というか、掲示板に来て下さる方とも話していたのですが、餌の時だけは違うなぁと思ったのでその様子をちょっと観察してみました。それで、食べている最中の警戒心を中学校の成績表よろしく5段階評価で表してみようかなと思います。ということで、

非常に警戒心が強く、餌を食べに出てくるのにも時間がかかり、なおかつ、人が近づくと逃げてしまう。
警戒心が強く、餌を食べている最中でも人影を見ると大抵逃げる。
ごく普通の警戒心で、餌をやると普通に出てきて普通に食べる。人が居てもあまり逃げない。
警戒心が希薄。餌をやるとすぐにやってきて、人目もはばからずに食べる。さすがに音を立てると一瞬ひるむ。
警戒心がゼロ。餌をやる前にすでに待機して、餌の投入と同時に、猛烈に食べはじめる。もちろん、人間の目など気にしない。ガラスを弾いても逃げる気配すらない。

 と、こんな感じにしてみました。当然、数字が大きいほどなついていると言えるでしょう。ペットとしてはかなりうれしいです。でも、4や5なんかは野生としては問題のあるレベルではないでしょうか。ということで、うちの水槽の住人達の成績表をつけてみましょう。

クラウンローチ(小) クラウンローチ(中) クラウンローチ(大)
プラティ 5+ ネオンテトラ ペンギンテトラ
グラスブラッドフィン シルバーシャーク ラズボラエスペイ
オトシンクルス 2+ コリドラスステルバイ コリドラスエレガンス
コリドラスコンコロール ドワーフグラミー クーリーローチ(参考)
サカサナマズ(参考) 1−

 と、こんな感じでしょうか。参考と書いたのは、評価してみたら1が誰もいなかったので、昔飼っていた1の方々を引っぱり出してきました。うちの水槽での無警戒王はプラティ軍団です。食欲で脳の警戒神経(そんなものがあればの話ですが…)が麻痺するものと思われます。ちなみにサカサナマズは餌を食べているところはおろか、姿を見ることさえ困難な魚でした。たまに見ると、その日は良いことがありそうな気さえしてきます。みなさんの水槽では、どんな無警戒な魚たちが餌をねだっているのでしょうね(笑)。



■決まり事  2003/2/10

 熱帯魚飼育ではほとんど決まり事のように語られる事柄があります。たとえば、私が”クラウンローチをはじめよう”のところで書いた水換えの周期、量。1週間に1度、1/4〜1/3というもの。これは本当は決まっていることではありません。本来なら水換えは、必要なときにするべきものです。水槽の様子を見て、魚たちや水草の調子を見て、水質を調べて、必要なら必要な量だけ水を取り替える。これが本来の水換えのあるべき姿だと思います。でも、私はその水槽を見てもいないのに周期を決め、量を決めて語ります。それはいろいろやってみて、いろいろな人の意見を聞いてみて、その周期と量が多くの場合に当てはまるような気がするから書いているわけです。そして、何もわからずに熱帯魚飼育をはじめた方は、なにがしかの基準がないと困るという事情もあります。だから、あえて書くならそのくらい。ということで書きました。他にも決まり事のように語られる事柄はあります。蛍光灯の照射は一日何時間がいいとか、餌はこのくらいがいいとか、水あわせはどうやるか、etc…。どれも、実は決まってないんです。ただ、それを決める要因が何なのかを理解するまでは基準が欲しいから語られているだけだと思います。逆に言えば、なぜ水換えが必要か、なぜ蛍光灯が必要か…、を正しく理解できたなら、それに従って自分で考えて決めればよいことです。というよりも、水槽によって状況は様々ですから、そういった決まり事に頼るのではなく、その水槽にあった、その水槽だけの飼育の仕方をきちんと考えてあげたほうが良いのだと思います。そうすれば、きっと魚たちも水草も健康で美しい姿を見せてくれるのではないでしょうか。もちろん、それがとても難しいことで、かくいう私もうまくできていないのが現状なのですが。それでも、決まり事にとらわれず、きちんと自分で考える姿勢だけは忘れないようにしようと思っています。



■水質、飼育環境について思うこと  2003/2/7
 

 アンモニア、亜硝酸濃度、pHなどの水質に関する事です。ネットで、熱帯魚飼育でトラブっている方々の事例など見ていて、アンモニアも亜硝酸濃度も安全圏、pH、硬度なども問題ないのに、水が白濁したとか、魚が病気になる、死ぬ、水草が枯れるなどといったことで悩んでいる方を多く見かけました。それを見ていると、そういった試験薬などで測れる水質だけでは水槽内が良い水、良い環境なのかどうかというのは語れないのではないだろうかとおもうのです。目的と手段を取り違ってはいけないと思います。たとえアンモニアや亜硝酸の濃度が高くても、pHが異常に低くても、魚が元気で、水草も育ってくれるなら問題ないのです(そういう事例は少ないのでしょうが…。例えですので)。そういった有害だと言われている物質の濃度を下げる事に躍起になるのもわからなくはないのですが、そればかりが魚が死ぬ理由ではなくて、水槽のレイアウトに隠れる場所がない、逆に水草が邪魔で自由に泳げないとか、水流が強すぎて落ち着かない、一緒に入れている魚が悪さをする、人間が頻繁に手を入れる、人影が常に水槽に映る、そんな魚のストレスや、尖った石が多くて怪我をする等々。そういった要素も水質と同じようにしっかりと考慮するべきなんじゃないかと思いました。つまり、きちんと数値としてわかる基準だけが魚にとっての快適な環境の基準ではないということをもう少し考えるべきなんじゃないだろうかということです。濾過バクテリアや水質データ偏重主義ではなく、総合的に魚の飼育環境を考えるのが筋じゃないかと思っています。まあ、こういった意見は水質検査薬を買ったのに普段の飼育では滅多に使わない私の戯言ではありますが。



■水槽の定員  2003/2/2

 アクアリスト達の間で良く話題にされる話として、水槽にどれだけの魚を飼えるのかという疑問があります。初心者向けのサイトでもその管理者の方がそれぞれ適当な基準を示してらっしゃるのを見かけます。どれも、この命題に何とか答えを出そうと模索した結果で、それぞれ、それなりに基準となりうるのではないかと思います。よく言われるのが1リットルに1センチ説。30リットルの水槽なら、3センチの魚10匹を飼えますよ。という説です。60センチ水槽(約60リットル)で、3センチの魚20匹。なんか少ない気もしますがなかなか、おもしろい考え方です。他にもあります。1リットルに小型魚1匹説。これだと60センチ水槽に60匹。なんか、過密っぽいですが、そんなに的を外しているわけでもないと思います。げんに、そのくらいの過密飼育が可能な方もいらっしゃるようですし。まだあります。1リットル当たりに魚の重量で基準をもうけたもの(詳細は忘れました)。さらに、それぞれの亜流として、適当な比例定数が付けられた式…。ありすぎます。どれを信じればいいのかよくわかりません。しかも、その議論にはさらに大きな問題があって、同じ大きさの水槽でも濾過能力が違うとか、水草の量が違うとか…。ということで、私が出した結論は水槽の定員なんてわからないというものだったりします。無責任ですね。このままで終わってしまってはちょっとまずい気がするので私なりの見解を述べますと、「水槽をぱっと見て、魚たちが窮屈そうに感じたらもう入れない」という何とも主観的な方法で飼育匹数を決めています。私の近所の熱帯魚屋さんに行くと、小赤(縁日の金魚です)が40センチ水槽におそらく100匹以上、過密飼育されて売られていたりします。さすがにそれを見ると、「これはちょっとかわいそう…」と思うわけです。そして、隣の水槽に目を移しますと、60センチ水槽に15センチくらいのプレコが一匹。水草もなく、底砂もなく、濾過器のみの中で暮らしています。それを見ると「なんか入れてあげたらいいのに…」と思うのです。これは極端な例ですが、人間のぱっと見の感覚って、意外と当てになるような気がしています。ですから、私は、熱帯魚屋に行く前に自分の水槽を眺めてから行きます。なんか寂しいなと感じたら、新しい魚を買ってくるかもしれませんし、そう感じなければ、何も買わずに帰ってこようと決めて出かけます。
 魚たちはある程度のことは許容してくれるものだと思っています。過密なら過密なり、ゆったりしていればそれなりの生活スタイルを自然にとってゆくのが生物の適応能力というものなのではないかと思っています。そんな魚たちに頼り切っている私は良い飼育者とは言えないのかもしれませんが。



■枯れない水草  2003/1/29

 よく、枯れない水草って言われる水草があります。アナカリスとか、ハイグロフィラとか、ウィロモスとか、他にもいろいろあるでしょう。大抵のサイトでは初心者おすすめの水草として紹介されています。私もそれらの水草を植えてみて、確かに枯れません。私のように魚主体で、超低光量+たまに日光。なんていう変な環境でも育ってくれます。でも、たまに思うのは、彼らは枯れないだけで本当は苦しいんじゃないのかなということです。私たち人間も快適に生活しているときもあれば不快に生活しているときもあります。でも、どちらも生きているという状態に変わりはありません。だから、水草が枯れない事と、水草がその環境に合っていることとは別の話なのだと思います。だからといって、水草に「この水槽は快適かい?」と聞いたところで答えが返ってくるわけではありません。それに、上記の水草はそんな環境でもきちんと生長してくれます。生長するから快適か?というとやっぱりそれも違う気がします。また、水草水槽に見られる高光量、二酸化炭素添加、肥料投入という方法も同様に思います。良く生育するから快適なのでしょうか。ただ単に無理やり生長させられてるだけなんじゃないのでしょうか。そんな疑問が消えません。私はできることなら、水槽の中に閉じこめられてしまった生物たちになるべく快適に過ごして欲しいと願っています。そういう意味で、水草にとっての本当の快適環境というのを是非知りたいなと思います。光は日光が一番なのでしょうか?水は少し流れていた方が良いのでしょうか?肥料はやった方がいいのでしょうか?うーん、やっぱりわかりません。


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