湧いてください、ブラインさん

 ブラインを湧かす…。生き物に、”湧く”というとあまり良い意味には使われないことが多いですね。虫が湧くとか、良く言いますから。しかも生き物を”湧かす”んですから、ある意味すごい言葉だなと思いながらいつも使っているんです。ちなみに、”沸く”と書くと、これは熱して沸騰ということなので、さすがのブラインも死んでしまいますので止めましょう(笑)
 ということで、ブラインのお話。繁殖を楽しむときには、稚魚の第1、第2段階の餌として、重宝されていますし、魚の餌食いが悪いときには、かなり役立つ餌です。冷凍や乾燥物も売っていますが、一番栄養価があって食いつきも良いのはブラインシュリンプエッグから孵化させたばかりの幼生で、それを飼育に使うのが今でも一般的かなと思います。でも、ちょっと孵化のさせ方が面倒なんですよね。2%程度の塩水で、26度前後の水温、24時間エアレーションという条件で孵化率が一番高いといわれています。孵化率を気にしなければ、エアレーション無しでも湧きますし、温度が多少上下しても、塩分濃度が少し違っても、まあまあ孵化します。でも、ブラインシュリンプエッグは結構な値段がしますし、せっかく孵化させるのですから、孵化率が高いほうが良いわけで、私もできるだけ条件をそろえるようにしています。と、ブラインに関しては別にこだわっているわけでもなく、普通に使っている私なんですが…。
 最近、よんべぇがいまいち調子が出ないので、ブラインを湧かす日々を送っておりましたところ、その事件はおきたのです。
 うちにはブラインシュリンプ孵化器なる物がありまして(といっても、ペットボトルで私が作ったんですが…)、それで毎日ブラインを湧かしておりました。新鮮なブラインが一番とのこと、たくさん湧かしても仕方が無いですから、毎日耳掻き1杯分くらいのエッグを細々と湧かしています。それでも塩水の水量が少ないので、湧いてくるとかなり増えていますし、薄くオレンジ色に見えて綺麗なんです。ですが、先日、会社から帰って孵化器の中を見てみますと、ブラインがいないんです!(別に駄洒落じゃないですよ(^^;) 前日にはしっかりと塩水を作ってセットしたのに、孵化器の中は透明で、ブラインが動く姿も全く見当たりません。うーん、と腕を組んで悩みました。水槽の中に設置してあるので、水温は水槽と同じで22、3度。でも、その前の日も問題なく湧いたので良いはずですし、エアーは勢いよく出ています。塩分は?とちょっと舐めてみましたが、問題ない塩辛さです(真似して舐めないでくださいね(^^;)。どこかから漏れて水槽内に散ったかなとも思いましたが、それならこんなに塩辛いわけないですし…。ということでしばし悩んだのですが、もう一度良く見てみると、やっぱりちょっとおかしいんですよね。妙に水が澄んでいまして、普段は水面に浮いている、孵化した後のブラインの殻も綺麗さっぱり無い…無い…って!!
 ここまで書けば、おわかりの方はいらっしゃるかと思いますが、前日の私は、ブラインの塩水はしっかりセット、温度もばっちり、エアーもかけておきながら、ブラインシュリンプエッグを入れ忘れていたんですね(笑)本当に、困ったものです。
「”湧く”っていうくらいだから、何も無くても湧いて欲しい…」って本気で思った私なのでした。なにも入れなくてもブラインの湧く孵化器をお持ちの方、ご一報ください(^^;
 ということで、”湧く”というわりには、いろいろと手間がかかるブラインです。「虫が湧く」なんて何気なく使いますが、これもきっと条件がいろいろとあるのでしょうね。虫が湧くのもきっと大変なことなので、あまり毛嫌いしないように…できたらいいですけどね(笑)



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