蓋の悲劇

 掲示板でアオさんと蓋のお話なんてしていたものですから、水槽の蓋で大失敗をやらかしたことを思い出しまして、猫の額の〜の第2回目を書くことと相成りました。
 セット物の水槽を買うと大抵は水槽の蓋がついてくるのですが、しばらく飼育を続けていると、何かと器具も買ってきたりするので、濾過器なんかも余ってきまして、セット水槽は段々と購入しなくなることが多いと思います。ということで欲しいサイズの水槽を買いに行くわけですが…。そうなると蓋は別売りです。もちろん、そういう買い物をしても、レジに行くと大体はお店の方が「ガラス蓋はありますか?」と聞いてくださるのです。ところが、一人暮らしでバイト生活なんてしていたりすると、お金がないわけで…(私だけでしょうかね?(^^;)。60センチ用ガラス蓋が半分で500円くらい。全面を覆うなら1000円の上乗せです。これは痛いですね。1000円あったら、クラウンローチが2匹くらい買えるかも。って思ってしまうと、お金のない学生だった私は当然、それをケチったのです。「あ、蓋はあるんで、大丈夫です」なんてお店の人に笑顔で答えたりして…。
 ということで、後日、ホームセンター(100均だったかも…)にいたりするわけです。「蓋はある!」なんて大見得を切ったのに、蓋をこれから探すのですから、この時点で何か間違っているような気もしないでもないのですが…。ということで、いろいろと蓋になりそうな物を物色していまして、見つけたのがアクリルの板です。3ミリ程度の厚さで、大きさは確かA4サイズ(よりちょっと大きめかも)だったと思います。何よりの魅力はその値段です。なんと1枚100円!2枚あれば60センチ水槽に蓋ができます。しかも、そのときの私の頭の中には、まことに都合の良い理屈が渦を巻いていたわけでして…。「アクリル水槽があるんだから、アクリル蓋でも大丈夫だ!」とか、「薄いし加工も楽だから、パイプのところとかも綺麗にカットして、ぴったりの蓋が作れるぞ!」とか、「この値段で、水槽にぴったりのオーダーメイドみたいな蓋なんて、ちょっとリッチだね!!」なんて…。言ってる事がよくわからないですけど、とりあえず、この上なく良い物を見つけたような気になっていたのでした。
 アクリルの板を2枚購入して家に帰りまして、早速加工に取りかかります。そのころは外部濾過器を使っていたので、そのパイプを通すの穴と、ヒーターなどのコードを通す穴、さらに蓋を全部取らなくてもエサがあげられるような穴を開けることにしたのですが、ここで一つ目の誤算です。「アクリルはカッターで切れない」んですね(^^; いえいえ、頑張れば切れるんですよ。でも、この厚さですと、かなりの重労働でして、私の根性が先に尽きたのでした…。「まあいいか。とりあえず、蓋をちょっとずらして使えばいいし」ということで、何だかはじめのコンセプトが覆るような不思議発言をしながらそれに関してはちょっと妥協したのです。しかも、加工の最中に1枚を割ってしまい、買いに走ったのは言うまでもなく、さらにずらして水槽に乗せることも考えて、枚数を増やしまして…。さらにさらにアクリルをカットするためにプラスチックカッターを買ってきたのも秘密です(しかも、このカッター、あまり役に立たず…)。この時点で、交通費も含め、すでに1000円を超えていることに本人は気がついていなかったりします。とはいえ、パイプを避けるように3枚のアクリル板でうまく水槽上面を塞ぐことに成功した私は、かなり満足していたのでした。ですが、これがほんのひとときの平和でしかなかったりするのです。
 設置から1日経って蓋を見ると何だか中央がくぼんだように反っているのです。仕方がないなと思いつつも、水槽の蓋としての役目は果たしているので、何も考えること無しに、そのままにしておきました。それが大失敗の元とは知らずに…。
 そして、最大の悲劇が訪れたのは、その翌日。蓋の設置からたった二日後のことです。なんと、朝起きてみると、水槽の周りが洪水になっておりまして(T_T)。「………」 唖然として声も出ません。外部濾過の吸い込み口のところまで水位が下がっておりまして、濾過器が空気を吸い込んでゴホゴホと言っておりました。でも、濾過器から水が漏れた様子はないのです。もちろん水槽が水漏れしているわけでもありません。なぜ水が漏れたのか。それを突き止めるまでかなりの時間がかかりました。
 実は、下向きに反り返っていた蓋に原因があるのです。そのとき、私は外部濾過からの戻り水を水面上に出して、エアレーションの代わりに使っておりました。つまり、シャワーパイプが限りなく水槽の一番高い位置にあったわけです。蓋のすぐ下の位置に。ところが、蓋が反って落ちてきたために、シャワーパイプに蓋が接触してしまいました。そうすると水というのは不思議な性質があるものでして、水面に落ちずに、蓋の下側を伝わって流れるのですね。そして、2枚のアクリル板は長さをきっちりと測って切ったわけではなく、だぶった部分は重なっていたことも災いしました。不幸なことに、水が伝わってきたアクリル板は、上側に重なっていたのでした。つまり、その時点で水が隣のアクリル板の上に貯まり始めたわけですね。もちろん、そんなところに大量の水をためておくキャパシティがあるわけもなく…。その水は見事に水槽の外へと脱出することになったわけです。
 水が半分くらいになった水槽の中でクラウンローチが何事もなかったかのように、のほほんと寝ているのをみると、余計にむなしさがこみ上げて来るのでした。
 ということで、それ以来、アクリルの蓋にはかなりの気を使うことになりまして、できるだけガラスの蓋を購入するようになったのでした。皆さんもアクリルの蓋を使うときには、反り返りには十分にお気をつけくださいね。



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