水槽の蛍光灯が夕闇に映える頃、割とよく、餌を盗みに来る熱污が入ってきた。どこにでもいるようなアクアリストだ。何を思ったか自分は卵胎生なんだと激しく主張しはじめた。

まるで小学生の会話だった。

水槽の蛍光灯が夕闇に映える頃、割とよく、餌を盗みに来る熱污が入ってきた。どこにでもいるようなアクアリストだ。このダンディが話すことといえばいつもセクシーダイナマイトの事だ。

どう聞いても愛魚の自慢話だった。

水槽の蛍光灯が夕闇に映える頃、何回かこの店で魚の話をしていったダンディが入ってきた。どこにでもいるようなアクアリストだ。猫丸（マスター）にの水槽に顔を近づけると口臭を放ちながら喋り出した。

何人ものアクアリストがこの言葉に騙されて来た。

水槽の蛍光灯が夕闇に映える頃、何回かこの店で魚の話をしていった学生が入ってきた。ハーレムから引っ越してきてまだ日が浅いらしい。熱污は独り言をブツブツ言いながら水槽の一点を見つめ、テーブルについた。

そう言った途端、大粒の涙と飼育水が熱污の目から溢れた。

水槽の蛍光灯が夕闇に映える頃、何回かこの店で魚の話をしていった優男が入ってきた。愛玩の水温計を片時も離さない。得意万面で水槽立ち上げの話をしだした。

この優男の水槽の様子が見てみたい・・・・・・。

水槽の蛍光灯が夕闇に映える頃、何回かこの店で魚の話をしていった彼氏が入ってきた。アクアの世界しか見てこなかった、世の中にはそういう人間もいる。熱污はカウンターの上にあった”楽しい熱帯魚”を明読し始めた。

そう・・。熱污は生き地獄を味わってきたのだ。

水槽の蛍光灯が夕闇に映える頃、何回かこの店で魚の話をしていったプリンスが入ってきた。熱污は終始腰を左右に揺らしている。熱污は誰から聞いたかわからないアクアな噂話をはじめた。

聞いてはいけないアクア話だったような気がする。

水槽の蛍光灯が夕闇に映える頃、前に見たことがある男が入ってきた。熱污というふざけた名前の男だ。熱污はいかに大和撫子というものが素晴らしいかを主張し始めた。もちろん、魚の次にだが。

誰かこの男の水換えを止めてくれ。

水槽の蛍光灯が夕闇に映える頃、前に見たことがある青年が入ってきた。この界隈じゃ水槽をいじらせたくない青年ベストテンに入るらしい。熱污は120センチ水槽を抱えたまま、1歩もその場を動こうとしなかった。

いけない。一瞬寝てしまった。

水槽の蛍光灯が夕闇に映える頃、前に見たことがある彼氏が入ってきた。食えない・・・その手の人間だ。熱污は水槽周りを警戒するようにこう言い出した。

事実だとしたらかなりやばい水槽だ。