他の客も酔いが回ってきた頃に、またMarkovabeが水槽をかぶってやってきた。クリスマスとイースターが一緒に来たかのような酒機嫌だ。Markovabeはガタイに似合わず甲高い声でこう言った。

・・泣きたいだけ泣くがいい。今宵の酒は悲しい酒だ。

水槽の蛍光灯が夕闇に映える頃、見馴れない一人のミスターが店に入ってきた。言わずと知れたuronlinekdhアクアリスト組合のボスだ。uronlinekdhは独り言をブツブツ言いながら水槽の一点を見つめ、テーブルについた。

だがその目元は全く笑っていなかった・・・。

水槽の蛍光灯が夕闇に映える頃、前に見たことがあるジェントルマンが入ってきた。一癖もニ癖もありそうな人物だ。額、首筋、わきの下、水槽のガラスを一通りハンカチで拭くと、唾を飛ばしながらこう言った。

なかなか話し上手なジェントルマンだ。

水槽の蛍光灯が夕闇に映える頃、またMarkovabeが水槽をかぶってやってきた。若者の体から漂う高級なバクテリア溶液の香りが店内に異臭を放つ。一枚の魚の写真を取り出すと、目に涙をうかべて話しはじめた。

魚達が泣いてるぞ・・・。

水槽の蛍光灯が夕闇に映える頃、見馴れない一人の御曹司が店に入ってきた。今夜は最悪の気分だ。得意万面で水槽立ち上げの話をしだした。

この御曹司は魚の話しかしてこない。

水槽の蛍光灯が夕闇に映える頃、見馴れない一人の貴公子が店に入ってきた。不幸を絵に描いたようなタイプだ。猫丸（マスター）にペコペコお辞儀をするとマッドスキッパーのような眼で語り出した。

貴公子のこの言葉がのちのち何人ものアクアリストを苦しめることになろうとは、本人でさえも気づいていなかったのだろう。

水槽の蛍光灯が夕闇に映える頃、前に見たことがあるミスターが入ってきた。ここに来て、水質を語るようなタイプには見え無いのだが・・・。Marissadennaは一言一言時間をかけてゆっくりと濾過バクテリアについて語り始めた。

殆ど逆ギレだ・・・・・。

水槽の蛍光灯が夕闇に映える頃、またMarkovabeが水槽をかぶってやってきた。色男は女王様を探しているらしく、タバコをもみ消すと、テーブルにpHメーターを立ててから、もったいぶったようにこう切り出した。

何を語っても冴えない色男だ。

水槽の蛍光灯が夕闇に映える頃、見馴れない一人の男の子が店に入ってきた。出来ればグラス一杯で帰って欲しい・・そういう客だ。JimmyEractは現地の人間でも分からないのでないかという癖のある訛りでがなりだした。

人と同じようにしていないと不安なのだろう。

遅い昼飯でも食べに来たのか、またMarkovabeが水槽をかぶってやってきた。Markovabeは終始腰を左右に揺らしている。得意万面で水槽立ち上げの話をしだした。

そう言ったMarkovabeの表情は酷く疲れていた。