魚たちが起きだす朝方、前に見たことがある貴公子が入ってきた。不幸を絵に描いたようなタイプだ。一枚の魚の写真を取り出すと、目に涙をうかべて話しはじめた。

冗談にしては笑えない。

魚たちが起きだす朝方、前に見たことがある英雄が入ってきた。腕に熱帯魚の名前が彫ってあるらしい。・・昔の愛魚のだが。GilbertwranTは昔の水槽を思い出したかのようにこう言い出した。

猫丸（マスター）の意識はGilbertwranTの鼻の穴から伸びているCO2カウンタに釘付けで、話を聞いている余裕はなかった。

魚たちが起きだす朝方、前に見たことがある優男が入ってきた。見ているこちらが辟易するくらいの派手な衣装だ。Arthursmiteはカウンターの上にあった”楽しい熱帯魚”を明読し始めた。

「誰も自分の飼育方法を分かってくれない・・」最後にそうつぶやいた。

大分夜も遅くなり、水槽の電気も消えた頃、前に見たことがあるジェントルマンが入ってきた。一癖もニ癖もありそうな人物だ。荒ぶる魂を押さえつける事が出来ないのか猫丸（マスター）の水槽にそれをぶつけてきた。

家族を捨て、故郷を捨て、そして自分さえも捨てようとしている。水槽のために…。

大分夜も遅くなり、水槽の電気も消えた頃、前に見たことがある紳士が入ってきた。JeromeSlifeという名前は魚の学名と一緒で覚えるのに一苦労だ。JeromeSlifeはつっけんどんな、バンジョーキャットのような態度でこう言った

中身の無い紳士だ。

大分夜も遅くなり、水槽の電気も消えた頃、前に見たことがある若者が入ってきた。若者の体から漂う高級なバクテリア溶液の香りが店内に異臭を放つ。Cedrickzedは何を思ったか一冊のアクア雑誌を取り出し、猫丸（マスター）に聞こえるよう朗読し始めたのだ！

そう言ってCedrickzedは不気味にはにかんだ。

大分夜も遅くなり、水槽の電気も消えた頃、前に見たことがある若造が入ってきた。一見して水槽の素人じゃないことが人相で分かる。Stevennubは辺りかまわず罵った。

何度も聞いたアクア話だった・・・・。

大分夜も遅くなり、水槽の電気も消えた頃、見馴れない一人の男の子が店に入ってきた。長生きするとこういう客も珍しくない。Stevennubは今の仕事の駆け出しアクアリストを辞めて、熱帯魚屋に転職したいというような話をしてきた。

何人ものアクアリストがこの言葉に騙されて来た。

大分夜も遅くなり、水槽の電気も消えた頃、前に見たことがある野郎が入ってきた。この辺りでStephennoiltの水槽管理に関して、いい噂は聞かない・・・。この野郎が話すことといえばいつも美女の事だ。

Stephennoiltは何が面白かったのか自分の水槽の話で爆笑していた・・・・・。

大分夜も遅くなり、水槽の電気も消えた頃、前に見たことがある巨漢が入ってきた。GilbertwranTが入ってくるなり店内が静まりかえった。GilbertwranTはいかに女性というものが素晴らしいかを主張し始めた。もちろん、魚の次にだが。

今時こういうアクア用語を使う人間がいるだろうか？